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AI翻訳を使った翻訳を効率的に行うには~おすすめ言語ペアとその背景~

AI翻訳を使った翻訳を効率的に行うには~おすすめ言語ペアとその背景~

機械翻訳(MT: Machine Translation、以降MT と表記)はここ数年で飛躍的に品質が向上し、今や多くの企業が多言語展開・顧客サポート・技術文書管理などに活用するようになりました。しかし、いくら技術が進歩しても「どの言語ペアでも同じように訳せる」わけではありません。実際には、MTが得意とする言語の組み合わせと、仕組み上、どうしても難易度の高い組み合わせが存在します。

本記事では、MTまたLLMを使った翻訳を効率的に行いたい方々に向け、MT/LLM がかかりやすい(=品質が出やすい)言語ペアとは何か、またその背景にある言語的特徴やデータ要因についてできるだけ詳しく説明します。

 

目次 [非表示]

MT の「かけやすさ」を左右する要因

MT における品質は、単にエンジンの性能だけでなく、次のような複数の要因が絡み合って決まります。

 

1. 言語間の類型的な近さ
言語は「語順」「文法体系」「語形変化」「語彙の構造」など多くの特徴で分類できます。これらの特徴が似ている言語ペアは、MT でも対応しやすく、誤訳も少なくなる傾向があります。たとえば英語とスペイン語は語順が同じ SVO(主語-動詞-目的語)で、語彙構造も似ているため、モデルが意味対応を学習しやすいと言えます。

2. 学習データの豊富さ
MT の根幹は「大量の並列データ」です。国際的に使用されることの多い言語ほど、翻訳データが豊富に存在するため、モデルがより正確に学習できます。逆に、使用人口が少ない言語や並列コーパスが少ない言語ペアは、そもそも学習材料が不足しており、性能が出にくいという課題があります。

3. 文脈依存の強さ・表現の文化性
日本語やアラビア語のように文脈依存が強い言語、あるいは敬語のように語形が文脈で大きく変わる言語は、MT にとって難易度が上がります。

 

MT をかけやすい代表的な言語ペア

では、具体的にどのような言語ペアであればMTがかかりやすいのでしょうか。

 

1. 英語 ⇄ ロマンス語(スペイン語・フランス語・イタリア語・ポルトガル語)
最も MT 精度が安定しやすい組み合わせです。理由としては以下が挙げられます。

  • 文法が似ており語順も同じ

  • 大規模な学習データが豊富

  • 国際ビジネスで使用される頻度が高く、モデルの最適化が進んでいる

2. 英語 ⇄ ドイツ語・オランダ語(ゲルマン語派)
語順の変化や名詞の性など複雑さはあるものの、長年研究が進んでおり学習データも豊富です。NMT(ニューラル機械翻訳)登場以降、特に大幅に品質が向上した領域です。

3. 英語 ⇄ 北欧言語(スウェーデン語・ノルウェー語・デンマーク語)
ロマンス語ほどメジャーではないものの、語彙や文法が英語と近いため MT の相性は良好です。文法構造がシンプルなため、ビジネス文書では高い品質を得やすい点も特徴です。

 

Typologically distant(=類型的に離れた)言語ペアが難しい理由

MT の文脈でしばしば登場する言葉が「typologically distant(類型的に離れている)」という表現です。これは、言語の構造が大きく異なるため、モデルが意味対応を学習しにくいことを指します。具体的には以下のような言語ペアはMTの難易度が上がると言えます。

 

1. 英語 ⇄ 日本語
具体的な構造の違いとしては以下が挙げられます。

  • 英語は SVO、日本語は SOV

  • 主語を明示する英語と、省略しがちで文脈に依存する日本語

  • 敬語体系や述語の位置の違い

こうした構造差により、MT は文全体の構造を組み直す必要があり、誤訳が生まれやすくなります。

2. 英語 ⇄ アラビア語
具体的な構造の違いとしては以下が挙げられます。

  • 右→左の文字方向

  • 語根から派生させる語彙体系

  • 動詞活用の複雑さ

これらの違いにより、英語とは構造的に大きく異なり、MT の難易度が高まります。

 

LLM 時代でも「言語ペアの相性」は依然重要

近年では LLM(大規模言語モデル)を利用した翻訳も広まり、従来の MT の枠を超えた文脈理解・意図解釈が期待されています。しかし、LLM によっても「typologically distant」な言語ペアの難しさが完全に消えるわけではありません。

 

例えば、以下のような課題があります。

  • LLM が文脈理解に強くても、構造差による変換の難しさは依然残る

  • 翻訳タスクは文単位の正確性が要求され、汎用モデルでは誤訳が生じやすい

  • 専門文書では用語管理や表記ゆれ処理が必須

MT を安定運用するには、「モデルの強さ × 言語ペアの相性 × 用途に応じた設計」という三つの視点が重要になります。

 

まとめ:MT を使った翻訳は「言語ペアの理解」から

MT を活用する際、つい「どのエンジンが最強か?」に注目しがちですが、実際には、どの言語ペアにどの程度の品質が期待できるのか、を理解することが成功の鍵となると言えるでしょう。

 

具体的には以下を踏まえることが重要ではないでしょうか。

  • 英語 ⇄ ロマンス語・ゲルマン語 → MT が得意

  • 英語 ⇄ 日本語・アラビア語 → 難易度が高く人手編集が必須

  • LLM が進化しても、言語構造の差は無視できない

これらを踏まえることで、予算計画・スケジュール設計・ポストエディットの体制作りまで、より現実的で効果的なプランを立てることができます。

今回の記事が、MTを使った翻訳の参考になれば幸いです。

 

参考

Translatability Ranking for Machine Translation Engines

Machine Translation Quality: How Good Is It in 2025? (And How to Get Started)

 

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