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医薬品・医療機器 翻訳サービス:翻訳に必要な医学的知識 No.12 | 主な症状の解説⑤

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Ⅴ.不眠症(Insomnia)

1) 睡眠についての基礎知識

睡眠は、ひとに限らず、動物が正常に活動するために必須の生理的活動である。

睡眠は、ナンレム睡眠(Non-REM Sleep)とレム睡眠(REM Sleep)の繰り返しで、ナンレム睡眠からレム睡眠までを睡眠周期(Sleep Cycle)と定義する。


小児では、1回の睡眠周期は短く40~60分であるが、成人では約90分の長さとなり、入眠から翌朝の覚醒までの間、4~5回の睡眠周期を繰り返す。


レム(REM)はRapid Eye Movementの頭文字を取ったもので、レム睡眠中に眼球がはげしく動くことから、このように命名された。レム睡眠はナンレム睡眠よりも浅い睡眠で、夢(Dream)を見るのは、ほとんどがレム睡眠中である。


入眠後、最初の睡眠はナンレム睡眠(Non-REM Sleep)で、睡眠レベルは急速に深くなり(脳波パターンにより4段階に分類)、レベル1からレベル4に到達、その後、睡眠レベルは3,2,1と浅くなり、約1時間後、レム睡眠(REM Sleep)に入る。レム睡眠の時間は、最初は短く10分程度であるが、翌朝の覚醒前には長くなり、30分程度となる。


昼間でも眠気は周期的に生じ、小児は4歳頃まで、午後になると昼寝をする。成人になっても午後2時頃には生理的に眠くなることはしばしばあり、午後の授業での生徒のいねむりはよく見かける光景である。


北半球では、昼間に眠くなるのは、怠惰につながるとみなし、その対策として、日本では「おやつ(御八つ)」、英国では“Afternoon Tea” の習慣がある。「八ツ時」は未の刻で、現在の午後2時頃に相当する。しかし、南半球では、眠くなるのは正常な生理的現象と割り切り、昼寝(Siesta)の習慣がある。


睡眠中は、寝返りやレム睡眠中の眼球運動以外、意識的に体を動かすことはなく、見かけ上、体は休息状態にあるが、発汗、ホルモン分泌などの機能は活発に機能している。例えば、「寝る子は育つ」という日本の諺の通り、成長ホルモン(Growth Hormone)の分泌はナンレム睡眠中に盛んとなる。


2) 睡眠障害(Sleep Disorder)

睡眠障害(Sleep Disorder)には、昼間の傾眠傾向(Drowsiness)なども含まれるが、実質的には不眠症(Insomnia)が睡眠障害のほとんどを占める。

不眠症は、以下の3項目の障害が持続する状態と定義されている(睡眠障害国際分類)

  1. 睡眠の開始と持続
  2. 一定した睡眠時間帯
  3. 睡眠の質

「昨晩は、目が冴えて、どうしても眠れなかった」といった、一時的な不眠は、成人ならば、誰もが経験することで、不眠症には入れない。


不眠症の頻度は、加齢と共に増加し、男女間では女性により多い。不眠症では、


  1. 入眠障害(Disturbance of Sleep Induction:就寝後、眠ろうとしても眠れない)
  2. 眠ったと思っても、すぐに目が覚める(Frequent Awakenings)
  3. 睡眠が浅い(熟睡できない Non-restorative Sleep)

などを訴えるが、1の入眠障害は、ほぼ全例に共通する訴えである。


慢性不眠症(不眠が3週間以上続く)の患者さんは、日中の


  1. 傾眠傾向(Drowsiness)
  2. 意欲低下(Diminished Energy)
  3. 記銘力低下(Memory Impairment) 


などが進行、仕事に差支えが生じ、最悪の場合は、居眠り運転による交通事故など、深刻な事態にまで発展する危険がある。

慢性不眠症の頻度は、正確にはわからないが、成人の約10%程度とされている。実際の頻度は、職種や居住環境(例えば、都会と田舎)によっても異なり、大震災や景気低迷などの社会的要素によっても影響される。

3) 病因(Etiology)

不眠症は独立した疾患名ではなく、なんらかの疾患が基礎にあり、その症状のひとつが不眠である場合が多い。したがって、不眠症の病因を総て挙げることは不可能であるが、不眠症の持続期間によって、その原因をかなり絞り込める可能性はある。


短期間の不眠症(1~3週間以内): Transient or Short-term Insomnia
適応性不眠(Adjustment Sleep Disorder)がもっとも多い。適応性不眠は、生活環境の急激な変化(例:深夜勤務、時差ぼけ(Jet Lag)、突然の災害、不幸、など)による不眠で、通常は、時期が来れば自然に軽快する。


慢性不眠症: Chronic Insomnia 3週間以上続く不眠症
慢性不眠症もきっかけは、適応性不眠症と同じ場合は多い。原因は多岐にわたるが、大別すると、多くは、

  • 内科的疾患(Medical disorders) 例: 心不全、慢性閉塞性肺疾患、消化管潰瘍など
  • 精神疾患(Mental Disorders) 例:うつ病、不安神経症など
  • 神経疾患(Neurologic Disorders) 例:脳血管障害など
  • 薬物濫用 例:カフェイン中毒、覚醒剤中毒など

4) 不眠症で注意すべき症状、もしくは兆候

いびきがひどい場合:睡眠時無呼吸症候群(Obstructive Sleep Apnea: OSA)を疑う。肥満者に多く、居眠り運転事故の多くは、OSAが原因である。


自殺願望、殺人願望(Suicidal or Homicidal Thoughts):重篤な精神疾患(躁鬱病Bipolar Disorder 双極性障害など)で時に見られる。入院など、迅速な対応が必要。


夜間胸痛を伴う場合:冠動脈疾患を疑う。心筋梗塞や心室性不整脈の危険がある。


夜間呼吸困難:心不全(肺水腫)、慢性閉塞性肺疾患、喘息発作、などを疑う。突発性夜間呼吸困難発作(Paroxysmal Nocturnal Dyspnea) は起坐呼吸(Orthopnea)を伴い、急性左心不全で特徴的な症状である。


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毛利昌史

毛利昌史

東和病院名誉院長。東京大学医学部医学科卒業。米国ミネソタ大学留学(フルブライト留学生)ミネアポリス市Mount Sinai Hospital勤務。帰国後、東京大学第二内科助手、東京大学医学部附属病院中央検査部講師、三井記念病院呼吸器センター内科部長などを歴任し、平成15年に国立病院機構 東京病院名誉院長に就任。その後化学療法研究所付属病院院長、東和病院院長を経て現在は東和病院名誉院長。

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