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これからの特許翻訳⑤翻訳支援ツールと翻訳メモリの活用

近年、翻訳業界全体では機械翻訳の技術が大きく向上するなど、状況は変化しつつあります。今回は、産業翻訳の中でも特殊といえる特許翻訳のこれからについて、プロフェッショナル2名をお招きし、業界の特徴から、機械翻訳の影響、またコロナ禍の現状など、お話を伺いました。


目次

知財業界、特許翻訳の特色
特許翻訳の現状 コロナ禍の影響
特許翻訳の現状 関東と関西の違い
特許翻訳と翻訳支援ツール(CATツール)
翻訳支援ツール(CATツール)と翻訳メモリの活用
特許翻訳と機械翻訳
特許翻訳とみんなの自動翻訳@KI(商用版)
特許翻訳とポストエディット
ツールとコトバの根本的な問題
人の翻訳の必要性と機械翻訳との共存


翻訳支援ツール(CATツール)と翻訳メモリの活用

葉山:
memoQだと、「ライブ文書」という機能もすごく便利ですよね。アライン(一対一で紐づけ)された翻訳メモリがなくとも、指定ファイルの中から類似セグメントを探しにいってくれるとか。


糸目:
あれも便利です。たとえば初めてのお客さんのお仕事をいただいた場合、私の場合は特許庁のページを見て、似たような分野の日本語と英語の公報を数件ダウンロードします。それをライブ文書に入れておくと、原稿の中にヒットがあれば呼び出してくれます。

「ライブ文書」の機能もmemoQだけです。その場の判断で欲しいところだけつまみ食いしていける強力な機能です。

葉山:
翻訳者さんにとってもそうですが、実はお客様にとっても費用も低減でき、品質も安定させることができる。メリットがそれなりにあるのは明らかですが、まだ市場で翻訳支援ツール(CATツール)
は浸透してないですね。

先ほど申し上げた「仕上がり文字換算」という特許翻訳ならではの慣習も、CATツールを導入しづらい理由になっているかもしれません。

それでも、ここ数年で機械翻訳が注目されだして、急にCATツールも知られるようになり、お客様はすごく興味をお持ちになっています。変化の兆しですよね。機械翻訳を提供する我々のような企業にとってもありがたいことですし、お客様にとってもメリットがあるだろうと思っています。

​​​​​​​コロナの影響で営業活動が制限される中で去年の春から、弊社では週一回いろんなテーマで、お客様向けのオンラインセミナーを開催させていただいています。

その中で、「特許翻訳での機械翻訳活用」や、「特許翻訳での翻訳メモリ活用」をテーマにしてセミナーをしていますが、結構反響をいただいてて、中にはCATツールを導入し、弊社の機械翻訳(みんなの自動翻訳@KI商用版)をご契約いただいたお客様もいらっしゃいます。

特許事務所さんというよりもメーカーの知財部さんが、翻訳文を翻訳メモリ化することに関心をお持ちです。今後、メーカーの知財部にそういった動きが出てきたら、特許事務所さんもそこを意識せざるを得なくなると思っています。

ただ、印象としては翻訳メモリのメリットは分かるのだが、お客様の方で管理・運用するノウハウがなくて、「やっぱりいいか」という状態になっているケースがあるとも感じます。株式会社Cygnapiaさんでは、memoQの導入・活用コンサルティングもされていますが、そういった要望はありませんか。

糸目:
はい。特許事務所がCATツールを導入する上で、特許翻訳は結構クセがあります。特に特許請求項は原文上の特質から、ツールでは処理しにくいところがあります。そういった面でもご相談を受けたり、どのよう処理すべきかをご提案させていただくことが多いですね。


葉山:
それは非常にニーズがありそうです。弊社からご案内をしていると、そういうノウハウを教えてほしい、というお声も多いです。貴重なサービスですので、是非多くの方にご活用いただきたいですね。


糸目:
でも、特許事務所の中には、CATツールを使わずにWordでベタ打ちをして翻訳しているところの方が多いのでしょうね。


片岡:
「書き仕事」というのは、昔からそういうところがありますよね。例えば、小説を書くのもそうかもしれません。紙とペンがあればできることに、わざわざお金を出してツールを導入する必要があるのか?と思われがちですよね。

昔からあるやり方に対して、新しいやり方をしないといけない、という必要性がなければ、意識改革もなかなかできないのかもしれません。​​​​​​​

翻訳も、ある言語から別の言語へ書き写す・変換するだけの仕事にも見えますので、それになぜツールが必要なのか?という、もともとの固定概念みたいなのはなかなか壊せないのでしょう。

私が先ほど説明したmemoQのメリットも、翻訳の実務にかかわっていない人に説明しても、上手く伝わらないと思います。
​​​​​​​

葉山:
今のご意見はすごく説得力がありました。そうなのかもしれませんね。


糸目:
ただ、特許事務所に勤務していた時代に、海外の弁理士さんから教えてもらったことですけど、アメリカでは、特許明細書を人工知能(AI)で75%くらいまで完成させてしまう技術も開発されているそうです。

それをサービス化しようと考えている方もいらっしゃいました。なので、特許業界といっても、アメリカと日本、また中国ではそれぞれ傾向が変わってくるのかなというように思います。


⑥に続く

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