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これからの特許翻訳④特許翻訳と翻訳支援ツール

近年、翻訳業界全体では機械翻訳の技術が大きく向上するなど、状況は変化しつつあります。今回は、産業翻訳の中でも特殊といえる特許翻訳のこれからについて、プロフェッショナル2名をお招きし、業界の特徴から、機械翻訳の影響、またコロナ禍の現状など、お話を伺いました。


目次

知財業界、特許翻訳の特色
特許翻訳の現状 コロナ禍の影響
特許翻訳の現状 関東と関西の違い
特許翻訳と翻訳支援ツール(CATツール)
翻訳支援ツール(CATツール)と翻訳メモリの活用
特許翻訳と機械翻訳
特許翻訳とみんなの自動翻訳@KI(商用版)
特許翻訳とポストエディット
ツールとコトバの根本的な問題
人の翻訳の必要性と機械翻訳との共存


特許翻訳と翻訳支援ツール

葉山:
翻訳支援ツール(CATツール)についてお伺いします。私は翻訳者ではありませんが、特許翻訳の特性を考慮すると、翻訳支援ツール、特に翻訳メモリは、まさにおあつらえ向きだと感じます。絶対使ったほうが良いと思うのですが、お二人はどう思われますか?CATツールは使っていらっしゃいますか?

糸目:
はい。もちろん、CATツールは日々使っています。というか、「CATツールがなくなれば、翻訳やめます(笑)」


葉山:
いきなり名言が出ましたね(笑)。片岡さんはいかがですか。


片岡:
はい。私も使っています。


葉山:
多くの翻訳者さんが使用していると思うのですが、不思議なのは、特許事務所やメーカー企業の知財部では使っていなかったり、ご存じなかったりします。

他分野の翻訳では、お客様がCATツールを導入していて、翻訳の依頼時には翻訳メモリを我々に提供してくれることがよくありますが、特許翻訳の市場ではそこまで浸透してない。

先ほど申し上げた保守的な部分に関係があるのかもしれませんが、他分野との温度差は私は結構感じています。その辺りの話を伺えればと思います。まず、CATツールは何をメインでお使いでしょうか。​​​​​​​

糸目:
私はmemoQメインです。


片岡:
私も今はmemoQですが、事務所にいたときはGreenTを使っていた時期もありました。

葉山:
memoQが優れている点を教えていただけますか。


糸目:
短時間で語るのは非常に難しいのですが、一言で表すと「他のCATツールでできることは、memoQでもほぼできる」ことでしょうか。memoQでしかできないこともあります。その中で、私が頻繁に使う機能は、特定の用語を含んだ文書を、仮想的な一つのファイルの中に集めてくれる「ビュー」機能です。

過去にこんなことがありました。8件の関連出願の翻訳をしていたのですが、8件の特許明細書が、お互い半分以上は重複しているような案件でした。翻訳は順調に進んだのですが、最後の8件目で修正箇所が見つかりました。しかも、全体に修正をかけないといけない・・・。納期は明日に迫っている状況でした。そのときに活躍したのがmemoQのビュー機能です。

他のCATツールならば、その8件をそれぞれ別で開いて特定の表現に対して検索をかけて修正するという方法になるのですが、memoQはその表現を含んでいる文を全部集約して一つのファイルにまとめてくれるため、まとめて修正することができます。

葉山:
 いわゆる「串刺し検索」みたいな感じでしょうか?
​​​​​​​

糸目:
「串刺し検索+修正(置換)」ですね。それも一括置換のようなリスクのある方法ではなく、実際に目で見て修正ができます。修正をすると、8件それぞれのファイルの該当箇所に修正が反映されます。

その他にも、memoQにはいろんな機能があって、クレームだけを切り取ったり、冠詞だけを最後に見直すこともできたりします。私にmemoQについて語らせると、きりがありません(笑)。

葉山:
好きすぎて導入コンサルティングを始められたくらいですからね(笑)。もともとmemoQをお使いになる前は、ご自身でシステムを組んでいたのですよね。


糸目:
はい。私は秀丸エディタでマクロを組んでいました。エディタ上で翻訳を完結させて最後にWordに移す、という方法をとっていました。


葉山:
なるほど。片岡さんも今はもうmemoQがメインですか?


片岡:
そうですね。クライアント別に翻訳メモリと用語集を管理しています。関連案件を簡単に参照できたり、翻訳しながら用語をどんどん登録したりできるところは便利ですよね。

特許翻訳に限らず、用語を統一しなければいけませんので、100ページ以上の明細書だと、ツールなしでは大変です。自分が翻訳して登録した用語を反映したり、また類似段落の既訳表現を参照したりするということもmemoQなら簡単にできます。


⑤に続く

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