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【特別鼎談企画】これからの翻訳業界(10の質問)⑤



目次
「2020年の東京オリンピックに向けて」
「翻訳・ローカリゼーションの市場は、成長産業か」
「機械翻訳の成長率」
「今後若い世代の翻訳者の参入は」
「翻訳作業時間の減少」
「今後の人材確保」
「働き方改革」
「これからの翻訳業界」


翻訳作業時間の減少

(森口) では、次の質問にいきます。

⑤ 同様に、翻訳白書の中で一日の平均的な翻訳作業時間の減少が伺えます。こうした変化をもたらしている原因は何だと思いますか。

出典:「2017年翻訳白書」https://www.jtf.jp/jp/useful/report.html​​​​​​​

​​​​​​​(森口) 『翻訳白書』の中で平均的な作業時間の減少があります。だいぶん減ってきている感じがあります。7時間~9時間という人たちの層が減って、それ未満の人たちが数パーセントずつですが増えている感じがします。

 つまり、昔は翻訳者さんの中には土日も仕事を受けるという人たちがわりと多くて、翻訳会社がそういうふうに考えてしまうのはよくはないと思うのですが、逆に週末はもう休もう、働き方を変えようという変化も見られますQuality of Life的な考え方が影響しているのかもしれません。この統計から見て、どう思われましたでしょうか。

(稲垣) まったく想像がつかないのですが、効率が上がったというところはあるんじゃないでしょうか。

(新比惠) うちの契約翻訳者の人たちは、明らかに以前よりもよく休むようになっています。週末は仕事を入れない人が増えてきましたし、金曜日の5時以降は仕事を受けないという人もいます。以前よりも余裕をもって仕事をするようになってきていて、会社や企業と同じようにワークライフバランスとか、余裕をもって、適正な労働時間を守るようになってきたなというのを実感します。これは世の中の流れに合っていいことだと思います。

 もう1つ別の視点というのは、翻訳だけで食べていけないから、翻訳以外の仕事もしているから翻訳の時間が減っているのかなとか、そういうこともあるかもしれません。だけど、明らかに労働時間はいい感じに適正化しているのかなと……。


(森口) 副業ですね。

(新比惠) それもあるかもしれない、可能性はあると思います。翻訳周辺の仕事、通訳を入れたり、学校の先生をしていたりとか、そういうのもあるようです。

(川村) 3~5時間未満が増えているということは、やはり副業や1日中働けない人、働きたくない人が混ざっていると思います。7時間~9時間という人たちはフルタイムで翻訳をやっている人たちだと思います。

(稲垣) ただ単純に土日も働かないで5時にやめようと思っていると収入は減っちゃいますよね。だから、副業をやっているのか、効率的にやって、いままで7時間かかっていたものを5時間でできるようになったとか、翻訳単価を上げてもらったとか。

(新比惠) あるいは、他社で単価の高い仕事をたくさんもらっているから、うちのは断って、他社の仕事をやっているのかもしれない(笑)。

(川村) でも、やっぱりトレンドが変わってきているのはあると思います。

(森口) 業界としてはそういう働き方ができる業界ではありますよね。

(稲垣) 自由度が上がってきたということかもしれません。

(森口) では次の質問です。

⑥ 次も翻訳白書の統計です。翻訳者さん側の翻訳の仕事の受注方法に変化が見られます。翻訳会社から受注していた率が減少し、派遣、アルバイト、社員として翻訳に従事する、オンサイト勤務が増えているようにも見えます。この変化の原因はどこにあると思われますか。


​​​​​​​出典:「2017年翻訳白書」https://www.jtf.jp/jp/useful/report.html​​​​​​​

(森口) 受注方法です。これもちょっと変わってきて、翻訳会社から受けているというのが減っていて、ソースクライアントから直接受注というのも減っています。ただ、派遣・アルバイト社員として翻訳に従事しているというのが増えています。これはどういう変化だとおもわれますか。想像を膨らますしかないのですが。

(稲垣) 情報更新のスピードが一層早くなり、いちいち外注していられないから社内に翻訳者を置いておきたいというお客様も少なからずいらっしゃいます。

(森口) アジャイル開発になって、翻訳もその一部の中に組み込まれていくという……。

(稲垣) そうです。これまで徐々にアウトソースしてきたものが、また内製に戻るという回帰傾向もみられます。

(森口) 量が少なくなって、納期が短くなるわけですから、中でやったほうがいいという話はありますね。

(稲垣) ありますね。業者とのやり取りがいちいち面倒というのもあります。あとは、翻訳者の方が安定した仕事を求めているんでしょうか。

(森口) なるほど。

(稲垣) 中にいたら自分で営業しなくていいですから。

(森口) 社内で働きつつ、この人達は3、4時間フリーランスで働いているのかもしれません。新比惠さんはどうご覧になられましたか。

(新比惠) 私も同じような感じですが、技術革新がすごく進んでいるので、フリーランスで仕事を受けていてもやっていけないのではないかなと思います。まず、若い人は、先ほどの話にも関係しますが、クライアント企業や翻訳業界とかCRO――、CROはニーズが増えており、中に派遣社員を何十人も置いていたりするので、そういうところに行って、最新動向や新しい技術、AIもあるかもしれませんし、さらにその分野特有の専門性などを勉強するほうが生活も安定するし、手っ取り早く一人前になれる近道なのかなと思います。

(森口) そういう人たちが何らかの事情で短くしか働けなくなったようなときに、翻訳業界に戻ってきてくれるといいですけどね。

(新比惠) そうですね。医薬の翻訳者では翻訳会社や製薬会社で働いた経験があり、そういうところで勉強した後にフリーランスになっている人がすごく優秀です。ですから、最初からフリーランスは難しいですね。

(稲垣) お客様からもオンサイト勤務の依頼が増えていませんか。

(新比惠) 増えています。

(稲垣) うちはオンサイト勤務を引き受けてくれる翻訳者さんのベースが少ないので、ご依頼にお応えできないことが多いのですが。

(川村) 今、私が翻訳者だったら絶対どこかの会社に入ります。なぜって、新比惠さんもおっしゃったように、技術の進歩がものすごく早いじゃないですか。新しいシステムがどんどん出てきて、例えば翻訳支援ツールの使い方からいっぱいあります。在宅で一人で翻訳していたら一人で覚えるには時間がかかり過ぎると思います。仕事としては「このツールを使えますか」とか、「あれを使えますか」と聞かれますから、私だったら絶対どこかに入って仕事をします。

(新比惠) 全部ただで提供してくれますからね。

(川村) それで勉強させてくれるわけですから。1人でやるっていうのは不安です。

⑥に続く

【インタビュアー】森口功造

【インタビュアー】森口功造

株式会社川村インターナショナル常務取締役。ISO TC 37 国内委員として、主にISO17100およびISO18587の策定に関わる。機械翻訳エンジンの活用や翻訳関連の標準化推進に注力。

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