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【特別鼎談企画】これからの翻訳業界(10の質問)②



目次
「2020年の東京オリンピックに向けて」
「翻訳・ローカリゼーションの市場は、成長産業か」
「機械翻訳の成長率」
「今後若い世代の翻訳者の参入は」
「翻訳作業時間の減少」
「今後の人材確保」
「働き方改革」
「これからの翻訳業界」


翻訳・ローカリゼーションの市場は、成長産業か


(森口) では、次の質問にいこうと思います。

② 複数の翻訳業界専門の調査会社によると、現行の市場規模を全世界で5兆円程度と算出しています。また、2022年までに年平均成長率が7%を超えると試算している調査もあります。こうしてみると、翻訳・ローカリゼーションの市場は、成長産業のようにも見えますが、どういった受け止め方をされていますか。

CSA:(引用)Helping organizations comply with laws such as GDPR and meet the needs and expectations of international communication, commerce, diplomacy, aid, and other activities have fueled the language sector to US$46.52 billion in revenue(http://www.commonsenseadvisory.com/Portals/_default/Knowledgebase/ArticleImages/1806_RCH_LSM18_Market.pdf

Nimdzi:(引用)By extrapolation, this puts our conservative estimate of the market volume at USD 50 billion for 2018.  With a CAGR of 7.4%, Nimdzi believes that the market could reach USD 66.5 billion by the end of 2022.(https://www.nimdzi.com/2018-nimdzi-100/#market-analysis

(森口) 日本の翻訳・ローカリゼーションの業界は2,500~2,600億円ぐらいになるということで、日本国内の矢野経済研究所や今回の翻訳連盟の白書も同様の数値で出していると思いますが、だいたいそれぐらいといわれています。では、世界はどうかというと、Common Sense Advisoryは、4.6兆以上だと書いてありますので、全世界的にいうと5兆円ぐらいの市場ではないかといわれています。

 今回資料としてお出ししたNimdziはフリーで見ることができますが、そこから引用すると、CAGRが7.4%で今後2022年まで成長し続けるのではないかという予測をしていますので、そのままいくと6.6兆~7兆ぐらいの市場に成長していくということになります。

 その数値だけ見ると、全世界的な経済成長率がだいたい3%前後といわれていますので、それに比べると成長産業のようにも見えます。いま、IoTの分野が13%ぐらいで推移していると聞いていますので、決して悪い産業ではないと思います。そのあたりについてどういう受け止め方をされていますか。

(稲垣) 括り方の問題があると思います。ローカリゼーションに何を含めているのか、どういうサービスを含めているのかも疑問です。多様な業務が入ってきているのかなと想像していますが、必ずしも翻訳のみではなく、グローバリゼーションという意味で言語に関するビジネスが成長してきているというのは感じます。サービス内容ももちろん多様化しています。

 全社レベルでは、もちろん弊社は毎年成長していますが、その中でも単純なローカライズだけではなく、戦略的に特定の業種に力を入れたり、プロセスの自動化や機械翻訳などの技術に継続的に投資を行ったり、成長が見込めるAIやMachine Intelligenceの分野で、海外のリソースを活かした言語に関連するさまざまなデータ収集のお手伝いなどでビジネスの拡大を図ったりしています。ビジネスの拡大に苦労しているところもありますが、成長産業と思いたいです。

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(川村) 私は成長産業だと思っていますが、成長産業だからといって翻訳関連の企業の売上が増えるかどうかは、わからないところがあります。結局、翻訳関連の企業は、ここ5、6年、あるいは2025まででしょうか、そこを過ぎてしばらくしたらどこかで低成長になるのではないかということも考えています。たしかにグローバリゼーションで言語に対する需要は増えていきますが、従来型の翻訳という意味での需要が本当に増えるのかなと、増えたとしても微増ではないかなというふうに考えています。

 ただし、機械翻訳に関しては、まだまだこれから、どの分野にどうやって関わっていくかということさえ道を間違えなければ、まだ、しばらく成長していく分野だと思っています。

 市場の需要とか、これだけ翻訳されているんだとか、ローカライズされているんだという数字がどれほど上昇しても、それが我々の儲けにつながるかどうかというと、つながらない会社がいっぱい出てきてしまうと思います。

(森口) 新比惠さんはいかがでしょうか。医療の分野になってきますが。

(新比惠) 儲けにつながるかどうかはわかりませんが、医薬品産業ではグローバル展開で各社とも欧米をターゲットにして非常に競争が激しいですね。国内はジェネリック(後発医薬品
)の市場が80%時代になってきていますから、新薬を海外で売るしかないということで、グローバルのおかげで翻訳の需要のスピードもすごく速いですし、増えている感じです。

(森口) 分野の話をすると、医薬品に限らず、この分野が伸びているというのはありますでしょうか。先ほどマシンラーニング用、AI用のデータ作りというお話もありました。たぶんマシンラーニングという分野も非常に強い分野だと思います。分野によって差が出ていますでしょうか。


(稲垣) うちの会社としては業種的には医薬関係も伸ばしていますし、成長産業ととらえて人員を振り分けたりして、ビジネスを伸ばそうとアプローチをかけています。あとは、ゲーム業界です。ゲームについてはかなり力を入れていますね。業種を特定して組織分けをしているのは、ライフサイエンス、ゲーム、リーガルです。ただ、日本に限って言えば、ゲーム業界はけっこう内製型のお客様が多いですし、単価もITや他の業種よりも安い業界ですので、いろいろとチャレンジングだと思っています。ライフサイエンス分野は日本でも順調にビジネスを拡大できており、成長株だと思っています。

(新比惠) そういえば、厚生労働省もグローバル展開を推進していて、平成27年に「医薬品産業強化総戦略~グローバル展開を見据えた創薬」という戦略を出しました。AIやゲノム創薬、ビッグデータ活用の進展を踏まえてグローバル展開を推進しており、需要という点では増えていくと思います。ただ、まだそれについていけていない状況ですが。

(川村) うちも、医薬分野に力を入れていますが、医薬領域の翻訳ということでいえば、大手の企業さんが自動翻訳を入れる、特にグローバル展開している海外のお客様なんかはものすごく興味を持っていらっしゃるようなんです。ですから、まだ日本の医薬品の業界のほうがどちらかというと保守的なのかなというイメージがあります。

(新比惠) こだわりがすごいですよね。

(稲垣) 電子化はどうなんでしょうか。まだ手書きがあるとか。

(新比惠) まだ手書きはきますね。スキャンPDFの原稿を用いた翻訳依頼などはいまだにあります。

(稲垣) フォーマットを変えるというのもありますね。

(森口) それは医療分野に限定した話かもしれませんね。

(新比惠) そうだと思います。

③に続く

【インタビュアー】森口功造

【インタビュアー】森口功造

株式会社川村インターナショナル常務取締役。ISO TC 37 国内委員として、主にISO17100およびISO18587の策定に関わる。機械翻訳エンジンの活用や翻訳関連の標準化推進に注力。

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