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医薬品・医療機器 翻訳サービス:翻訳に必要な医学的知識 No.17 | 耳鼻咽喉科疾患の主訴 Vol.2

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耳鳴(Tinnitus)

耳鳴り(Ringing in the ears)はよくある訴えではあるが、病因を含め、その内容、程度は多岐にわたる。耳鳴は、痛みと同様、本人にしかわからない場合がほとんどで、他覚的評価(Objective evaluation)はできない。しかし、血管雑音(Vascular bruit)など、患者さんのそばに近づくと第三者にも聞こえるような耳鳴も時にある。

耳鳴そのものは、本人にとっては不快な症状であっても、日常生活に支障が出るほどのひどい耳鳴は少ない(4~8%)。

なんらかの耳鳴は、おそらく誰でも経験したことがある筈で、自然になくなる一過性の耳鳴は、受診の必要もない。難聴と同様、耳鳴の頻度は加齢と共に増加し、男女では1.4~1.8倍、男に多い。職務上、長年、騒音がひどい環境で働くひと(例;砲手、道路工事のひと)は、圧倒的に男性に多いことがその理由と思われる。

難聴と耳鳴の合併は、ほぼ必発と思ってよい。難聴になると、聴覚中枢部は、かすかな音でも認識しようとして感度を上げるため、耳鳴が生じやすくなると推定されているが、厳密には立証されていない。

耳鳴は、うつ病(depression)や不安神経症(anxiety)などでもよくある訴えであるが、耳鳴がうつ病や不安神経症の誘因となった可能性もあり、耳鳴と精神疾患の関係は、どちらが原因で結果なのかは断定できない場合が多い。


1) 病因(Etiology)

耳鳴は、難聴と同様、外耳から、中耳、内耳、蝸牛、聴覚神経を経て、大脳聴覚領域に至るまでの、どの部位の病変によっても生じうる。先にも述べたが、難聴があれば、程度の差はあっても、耳鳴は必発の随伴症状と思ってよい。

  • 伝導系(Conductive system:外耳(outer ear)、中耳(middle ear: 鼓膜(tympanic membrane)、耳小骨(ossicles))の病変耳鳴は、両側性(bilateral)が多いが、一側性(unilateral)の場合は、慢性中耳炎もしくはその後遺症の可能性が高い。メニエル病(Meniere disease)など、蝸牛の病変によっても耳鳴は生じる。
  • 聴覚神経(auditory nerve=第8脳神経:8th cranial nerve)や大脳聴覚領域の病変脳卒中、脳梗塞などの病変が耳鳴の原因となることはある。耳鳴の原因は特定できない場合が多いが、薬剤性耳鳴(薬剤の副作用としても耳鳴)の可能性は常に考慮する必要がある。

わが国では、結核が猛威を振るっていた昭和30年頃までは、多数の結核患者にストレプトマイシン(SM)やカナマイシン(KM)を長期間、筋注投与した。SM,KMはいずれも神経毒(neurotoxicity)の作用があり、とくに聴覚神経が選択的に侵され、SMやKMによる化学療法終了後、合併症としての聴力低下や耳鳴は、程度の差はあり、ほぼ全例が訴えた。

副作用として耳鳴を起こす可能性がある薬剤は多く、主なものを以下に示す。

  • 鎮痛剤(Analgesics):アスピリン、非ステロイド系消炎鎮痛剤(Nonsteroidal anti-inflammatory drugs, NSAID)
  • 抗生剤:Gentamicin,Vancomycin, Streptomycinなど
  • 抗がん剤:Cysplatin, Bleomycin, Vincristin, Methotrexateなど
  • 利尿剤:Furosemide, Chlorthalidon など

2)治療および予後

耳鳴の原疾患の多くは良性疾患であるため、生命が関わることはないが、根本的な治療法はなく、なんとか、付き合ってもらうしか選択肢がない場合が多い。

咽頭痛(Sore Throat)

咽頭痛は頭痛、発熱、せき、下痢などと同様、誰もが経験したことがある症状で、通常の「風邪」に合併する場合が多い。したがって、咽頭痛のほとんどは、とくに治療をしなくても、7-10日で自然治癒する。

しかし、A群β溶血性連鎖球菌(Group A βhemolytic streptococcus, GAS )感染による溶連菌性咽頭炎(Streptococcal pharyngitis, strep throat)は、急性リウマチ熱(Acute Rheumatic fever)や糸球体腎炎(Post-streptococcal Glomerulonephritis)の原因となることがあり、小児では、とくに見逃してはならない。

成人の場合、咽頭痛の約5-15%がGAS陽性とされているが、リウマチ熱や糸球体腎炎を併発する症例は、現在は、ほとんどいない。

溶連菌性咽頭炎の典型的臨床症状は、急性咽頭痛(sudden onset of sore throat)、嚥下痛(Odynophasia)、38℃以上の発熱、頭痛、腹痛、嘔気(nausea)、嘔吐(vomiting)などで、通常の風邪と異なり、せき(cough)や鼻水(rhinorrhea)の訴えはない場合が多い。

咽頭部の視診では、発赤、腫脹とともに膿性浸出物をみとめる。診断は、咽頭部塗抹培養の結果が決め手となるが、臨床の現場では、発熱、咽頭痛を訴え、咽頭部に発赤、黄色の膿性浸出液があれば、培養結果を待たずに、溶連菌性咽頭炎として抗生剤投与を開始することが多い。溶連菌は、ペニシリン系、セフェム系などほとんどの抗菌剤に感受性がある。

咽頭痛の鑑別診断

  • ウイルス感染:感冒、インフルエンザA,Bなど
  • 細菌性感染:溶連菌、肺炎球菌、ブランハメラ菌など
  • マイコプラズマ(Mycoplasma)感染
  • 真菌感染:とくにエイズ(HIV)の患者で重要

咽頭痛とともにせき、たん症状がある場合は、溶連菌感染よりは、気管支炎、肺炎など、気道感染の可能性が高い。肺炎球菌性肺炎でも肺炎の発症前に、咽頭痛が先行する。

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毛利昌史

毛利昌史

東和病院名誉院長。東京大学医学部医学科卒業。米国ミネソタ大学留学(フルブライト留学生)ミネアポリス市Mount Sinai Hospital勤務。帰国後、東京大学第二内科助手、東京大学医学部附属病院中央検査部講師、三井記念病院呼吸器センター内科部長などを歴任し、平成15年に国立病院機構 東京病院名誉院長に就任。その後化学療法研究所付属病院院長、東和病院院長を経て現在は東和病院名誉院長。

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