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中東言語の神秘と翻訳~アラビア語編~

企業のグローバル化が進むにつれ、多言語翻訳のニーズも高まりつつあります。

多言語翻訳の対象言語は中国語、韓国語、タイ語、スペイン語といったメジャーな言語から、マケドニア語、チェコ語、ベトナム語などマイナーな言語まで多岐にわたります。

本ブログではこれまでにもスペイン語中国語ミャンマー語ベトナム語等の翻訳を紹介してきましたが、今回の記事では、需要が伸びつつあるアラビア語について、そして翻訳の際に気を付けるべきポイントを紹介します。


    目次[非表示]

    1. 1.アラビア語って?
    2. 2.アラビア語が話される国・地域
    3. 3.口語アラビアと文語アラビア語
    4. 4.アラビア語のみぎひだり
    5. 5.意外となじみのあるアラビア語
    6. 6.美しいアラビア書道
    7. 7.おわりに
    8. 8.KIのサービス

    アラビア語って?

    「アラビア語」と聞いて、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか。アラビアンナイトの世界のような砂漠の夕焼けや、夕陽に映えるモスクを想像されるかもしれません。あるいは、単に右から左に書くミミズのような文字を思い浮かべるかもしれません。

    それらのイメージは大体が正解です。アラビア語はこのようなアラビア文字で表記され、右から左へと読みます。

    (訳:アラビア語)

    そして、アラビアンナイトの舞台となったアラビア半島を中心とした中東世界で主に話されている言語です。

    日本ではアラビア語を目にする機会が少なく、一般的な大学でも履修できることがほとんどないため、アラビア語をマイナー言語と考えている人も多いかもしれません。

    しかし、実は世界で3番目に多くの国や地域で使用されており、その話者の数も約2億3500万人*に上ります。(*出典:ウィキペディア

    この話者数は、中国語、英語、ヒンディー語、スペイン語に次いで5番目*に多くなっています。(*出典:ウィキペディア

    さらにアラビア語は、英語、フランス語、中国語、ロシア語、スペイン語に並んで国連の公用語として規定されています。日本では馴染の少ないアラビア語ですが、世界規模で見ると非常に話者人口の高い言語なのです。そのため、翻訳の需要も伸び続けています。


    アラビア語が話される国・地域

    それでは、そのアラビア語、具体的にはどこで話されているのでしょうか?

    アラビア語を公用語とする国はサウジアラビア、UAE、カタール、イラク、パレスチナ、ヨルダン、イエメンといったいわゆる中東地域から、エジプト、チュニジア、アルジェリア、モロッコ、スーダンといった北アフリカにわたります。ちなみに、イランではペルシャ語が使用されますが、ペルシャ文字はアラビア文字と非常に似通っています。

    日本語が北から南にかけて異なる方言で話されているように、アラビア語も地域によって独特の方言を持ち、場合によっては同じアラビア語話者でも、方言の違いによりほとんど言葉を理解できないことがあるそうです。

    例えば、モロッコなどでは、アラビア語より前にこの地方で話されていたベルベル語と、かつてフランスの植民地となった歴史の経緯でフランス語の影響を色濃く受けた結果、ほか国々や地域とはかけ離れた方言が話されるそうです。これらのような、地域によって異なる方言(=話し言葉)はアーンミーヤと呼ばれます


    口語アラビアと文語アラビア語

    では、方言がある以上「アラビア語話者」たちは意思疎通をとることはできないのでしょうか?

    そんなことはありません。これまでに方言(口語アラビア語:アーンミーヤ)を紹介しましたが、アーンミーヤの他にもアラビア語には文語(正規アラビア語)が存在し、この正規アラビア語がアラブ諸国の共通語となっています。正規アラビア語は、フスハーと呼ばれ、新聞や書籍、学術論文やニュースなど、公的な場で使用されます。フスハーは、イスラム教の古典であるコーランが書かれた言語でもあります。学校で学ぶアラビア語もフスハーであるため、一般的なアラビア語話者はフスハーを学び、フスハーを理解することができます。しかし、フスハーはあくまでも「公的な場」で使用される言葉であるため、日常会話ではほとんど使われないそうです。

    アラビア語への翻訳をする場合、多くの文書がフスハーへの翻訳になるかと思います。しかし、マーケティングコンテンツや小説など、場合によってはエジプト方言などの方言が使用されることもあると思います。アラビア語翻訳を依頼する際には、成果物の使用されるシーンや地域をしっかりと把握することが必要となりそうですね


    アラビア語のみぎひだり

    さて、アラビア語翻訳の際に気を付けるべきことが話に上がりましたので、もう1点アラビア語特有の、翻訳(ローカライゼーション)において気を付けるべきこと付け足します。

    先ほど「アラビア語は右から左に読む」と軽く説明しました。これが大きなポイントです。英語や日本語と読む方向が逆な場合、「成果物のレイアウトが左右逆になる」ことに気をつけなければなりません。

    実際の例を見てみましょう。

    アラブ首長国連邦(UAE)の都市、ドバイ拠点のエミレーツ航空のグローバルページ(英語表示)を見てみると、このような表示になっています。

    しかし、UAE版のアラビア語のページを選択すると、このように表示されます。

    レイアウトが左右対称になっているのが、簡単にお分かりいただけると思います。

    このように、アラビア語翻訳では、書かれている言語によってレイアウトにまでに大幅な変更が及ぶことを気に留めておいた方がよいでしょう。


    意外となじみのあるアラビア語

    さて、一見日本ではなじみのなさそうなアラビア語ですが、実は私たちが日常生活で使う言葉の中に潜んでいます。

    例えば「アルコール」「アルカリ」「アルゴリズム」といった言葉はアラビア語が起源であると考えられています。これは、アラビア語で「アル」は定冠詞(英語でいう「The」)にあたるためでもあり、アラビア語が起源の言葉をなんとなく推測できそうな気がしますね。

    このようなアラビア語を起源とする言葉は、科学分野に多いとされています。これは、現在のイラクの首都、バグダードにかつて存在したアッバース朝の「知恵の館」に見えるように、中世から近代の中東は科学面で大きく発展し、西洋諸国に大きな影響を及ぼしたためです。

    このように、アラビア語を起源とする言葉はたくさん存在し、私たちの日常生活での頻繁に使われています。興味のある方はぜひ調べてみると楽しいかもしれません。


    美しいアラビア書道

    さらに、アラビア語の特色として紹介できるものの一つに「アラビア書道」があります。

    先ほど述べたようにアラビア語はイスラム教の聖典コーランが書かれた言語であり、ムスリムはアラビア語を「アッラー(神)の言葉」であると見なしています。イスラム教では偶像崇拝が禁止されたことから、コーランの言葉を美しく書く装飾書法が発展しました。モスクへ行けば、モスクの至る所を彩る美しいアラビア文字を目にすることができます。

    こうしてアラビア書道は発展し、アラビア語圏では、コーランの引用でなくても、美しく装飾されたアラビア文字を目にすることができます。例えば、今ではアジアからヨーロッパに渡航する人の多くが利用するエミレーツ航空のロゴは、アラビア書道で「エミレーツ」を書いたものです。


    (*エミレーツ公式HPより)

    カタール拠点の放送局アルジャジーラは、アラビア書道で「アルジャジーラ」を炎を模した形で書いています。

    (*アルジャジーラ公式HPより)

    この文字が芸術となる装飾文字は、アラビア語特有のものともいえるでしょう。


    おわりに

    いかがでしたでしょうか。読む方向が異なったり、多くの方言が存在したり、ローカライズになかなか苦戦しそうなアラビア語翻訳ですが、これからさらに需要が増えると見込まれています。

    日本では馴染みのないと思われがちなアラビア語やアラビア文字ですが、よく見てみると、実は日本でも目にする機会が多いのです。そんなアラビア語翻訳を、ぜひとも身近なものととらえていただければ嬉しいです。

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    ターゲットの地域に合わせた細かい言葉のニュアンス選びやデザインの構築などローカリゼーションは、プロフェッショナルな人材のコラボレーションによる人手翻訳に強みを持つ川村インターナショナルにお問い合わせください。


    なお、多言語を特集した記事は過去にも掲載していますので、興味のある方がぜひご一読ください。

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