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レッツ・イングリッシュ・アップ!~和製英語の罠~

「スキルアップ」「チャージ」「ハンドル」

日常的に使う単語の中にはカタカナで表記される語がたくさんあります。英語で会話するときにはそのまま使えるのかも、と思いがちですが、カタカナ語を英語で使うときには注意が必要です。日本で使われるカタカナ語には、英語でそのまま使える「外来語」と、そうではない「和製英語」が存在します。

今回の記事では、日常的に使われてるカタカナ語に、どのような和製英語が潜んでいるのかを確認します。その後に、和製英語の罠を回避するために筆者が取っている術をご紹介します。

目次[非表示]

  1. 1.和製英語とは?
  2. 2.全く通じない和製英語
    1. 2.1.テンション
    2. 2.2.サービス
    3. 2.3.マイ~
    4. 2.4.~アップ
  3. 3.英語になってしまった和製英語
    1. 3.1.Salaryman
    2. 3.2.Level up
  4. 4.番外編 1:かぎかっこと引用符
  5. 5.番外編 2:英語になったとは言い切れないが借用語として使われているもの
    1. 5.1.Man
  6. 6.罠にはまらないために
  7. 7.KIの翻訳サービス

和製英語とは?

和製英語とは、英語のように見えますが、日本国外の英語話者には通じない表現を指します。

実は和製英語は外来語を借用して日本で作られたものであるため、日本語話者にしか通じないという背景があります。

英語を話すときには和製英語に注意すべきですが、翻訳するときも当然、問題になります。

それでは、具体的にどのような表現が「和製英語」にあたるのでしょうか?実際の例を見てみましょう。

全く通じない和製英語

テンション

「テンションが上がる」「ハイテンション」とは、何か楽しみなことがあってわくわくするときに使いますが、英語で high tension, increased tension というと、「高電圧」という意味になったり「緊張状態が高まる」ことを意味したりします。

サービス

日本では「ドリンク 1 杯目はサービスです」のような決まり文句をよく耳にします。一方で英語では、サービスというと、無形商材という意味のサービスや、テニスで最初に打つあの 1 打を指します。どちらも日本語で使われていますが、いずれも無料という意味はありません。

マイ~

「マイバッグをお持ちください」-これを Please bring my bag. としてしまうと、この文を言った人のバッグを指してしまうこととなります。Please bring your own bag. くらいにするのがよいでしょう。

~アップ

日本語では何かが上昇することを指して、「名詞+アップ」という表現を使うことがあります(好感度アップ、スキルアップ)。英語では「動詞+up」(build up)という使い方をするか、increase、improve のような動詞単体を使います。

英語になってしまった和製英語

「和製英語は英語圏では通じない」- この前提が転じて、もともと和製英語だったけれどもいつの間にか英語圏でも認知されるようになった言葉があります。

Salaryman

サラリーマン」は英語圏でも認知されるようになった和製英語の一つです。しかし英語で使われる場合はその意味は狭義になり、日本のように会社員を総称する際に使うのではなく、「日本のサラリーマン」を特定的に示す際に使われるようです。「サラリーマン」をあえて直訳的に表現すれば salaried worker となりますが、英語圏では businessperson など、職業名を具体的に言うのが一般的です(salesperson, engineer, translator など)。

Level up

英語圏の、特にゲームプレーヤーの間で通じるようです。英語で「up」は「動詞+up」の形で使われる、と先ほど書きました。ここで、日本語の「レベル」は名詞ですが、level up の level は動詞で使われることが多いようです("I leveled up")。

これらを英語に翻訳する際、英語ネイティブなら間違えないだろうと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、いつもそうとは限りません。日本に長く住んで日英翻訳をしていると、常に和製英語に対処しなければならず、また日本での生活に慣れきっていて、和製英語がだんだん普通の英語のように見えてくるという現象が起こります。翻訳者も翻訳をチェックする人も、カタカナ語があったらまずは疑ってかかる姿勢が必要です。

ちなみに、「従業員のスキルアップを図る」を翻訳者に訳してもらったところ、”aim to build employees’ skills up” という無理矢理な回答が返ってきました(本来なら、improve employees’ skills ぐらいでよいとおもうのですが…)。

番外編 1:かぎかっこと引用符

日本語では 分かち書き をしないので、「強調の意味」などでかぎかっこを使うのはある意味自然だと言えます。しかしこれを英語の引用符 (“ “) に置き換えるのは推奨できません。これは、引用符が通常、厳密な引用をするときにしか使われないためです。

"Massive crowds in Pennsylvania tonight. Thank you for joining me,” President Trump posted on Twitter.

引用符のひねった使い方としては、「私はそう考えていないけど、引用元の発言者はそう言っている」という皮肉の意味になることもあります。

President Trump was joined by “massive” crowds in Pennsylvania tonight.


番外編 2:英語になったとは言い切れないが借用語として使われているもの

Man

和製英語ではなく単なる日本語からの借用語ですが、ここでの man とは「」から来ています。日本在住の英語話者の間で one man(=10,000)、ten man(=100,000)のように使われています。この言い方がどのくらい流行っているのかは検証の余地がありますが、少なくとも one hundred thousand と言うよりは楽です。ぜひ使ってみてください。

罠にはまらないために

言語使用とは、同じ言語の話者との間でコミュニケーションを成立させればよいもののため、和製英語を英語で使用することは絶対にダメだとは言い切れません。使っている人たちが理解できれば良いのです。

しかし、コミュニケーションの相手が必ずしも和製英語を理解しているわけではありません翻訳するとなるとましてそうです)。和製英語の罠にはまらないために筆者が取っている術を 3 つご紹介します。

日本語を使うときは日本語しか使わない。英語を使うときは英語しか使わない
日本語で話しているときは英語のことは忘れます。英語で話しているときは日本語のことは忘れます。カタカナ語を使うのをなるべく避けましょう。

英単語を覚える際、カタカナに直すのではなく、日本語由来の言葉を使った訳語を覚える。日本語を英語に直すときも、必ず調べる
語の借用は、相手方の言語でちょうどいい言い方がないときに起こりやすいので、そうならないように語彙力をつけましょう

日本について書かれている英語を多く読む (新聞や旅行ガイドなど)
普段日本で使われている言い回しが通常の英語で書かれていることが多いので、表現力がつくはずです。

みなさんのお気に入りの和製英語は何ですか?本投稿に書かれたもの以外にもたくさんあるとおもいます。こんなのがある、というのがあったらぜひ教えてください!


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