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【MT summit XVI 開催間近!】特別インタビュー企画 ⑤

「機械翻訳の現状と未来」

目次<続き>

 

「アジア太平洋機械翻訳協会について」

「ニューラルネット機械翻訳の衝撃とこれからの付き合い方」

「いまさら聞けない。従来の機械翻訳の方式との違い」

「これからの研究分野と翻訳業界の課題」

「MT summit XVI @名古屋大学 豊田講堂の見どころ」

 

MT summit XVI @名古屋大学 豊田講堂の見どころ

 

森口:今回のインタビューをやろうとしたきっかけになったのが、MT summit の開催ですが、欧米の方法論だとかベストプラクティスについてもちろん議論や発表があるかなと認識しています。

 

まず開催期間は 9 月 18 日から 22 日ですね。

 

中岩:場所は、私が所属している名古屋大学の豊田講堂という、ある意味名古屋大学のキャンパスのシンボルと言われる大きなホールです。

 

森口:私も運営に関わらせてもらっていますが、初日はワークショップとチュートリアルで本会議が 2 日目から 4 日目まででしたよね。最終日もチュートリアルとワークショップですね。

 

中岩:そうですね

 

森口:学会イベントに慣れていない私みたいな人間には、チュートリアルとワークショップの違いが良く分からないんですがご説明いただけますか。

 

中岩:まずチュートリアルは、基本的にはある種の特定の技術や、ノウハウについて専門家でなくてもわかりやすく講義をするというようなタイプの講習です。今回はいくつかあるんですけれども、機械翻訳をどうやって使うかという内容が多いかなと思います。

 

ワークショップは、単に技術やトレンドを教えるというよりも、お互いに専門家が集まってあるトピックについて議論したり、特定の機械翻訳技術もしくは機械翻訳の利用とか特定の狭いテーマについて発表をするような内容です。

 

そのため、ワークショップでは最先端の技術なり研究者がどういうようなことを思っているかを把握できるし、チュートリアルであるような全体的なトレンドも学ぶことができると思います。

 

そのうちの一つが日本翻訳連盟(JTF)と一緒に予定しているセッションです。先ほども話に出ましたが、すでに欧米では機械翻訳の技術が普及しているけれども NMT の登場で日本語にもようやくそういうフェーズが来たと思います。

 

我々は何をすべきかというのをヨーロッパ、アメリカの先人のいろんな経験を学びましょうという内容になってます。

 

森口:本会議の前と後にチュートリアルとワークショップがありますが、本会議期間中のユーザートラック、リサーチトラック、あとテクノロジーショーケースの違いもご説明いただけますか。

 

中岩:基本的に、こういう国際会議っていうのはいろんな研究者が技術をまとめて論文を投稿します。それで査読というレビューを通して、良い内容のものを選びます。ユーザートラックと、リサーチトラックの二つはそういうタイプのものです。

 

現在もうすでに採択は終わっていますが、そのうちリサーチトラックというのはリサーチですので、機械翻訳技術の研究開発に関する技術的な発表です。ニューラルネットワークの構造だとか高速化だとか技術的にも最先端な情報の発表があります。

 

ユーザートラックは、機械翻訳技術をどうやって活用するだとか、ポストエディットのやり方だとか、リソースマネジメントだとか、いろんな観点の機械翻訳の利用に関する研究発表をします。

 

テクノロジーショーケースは、機械翻訳の活用方法などを展示会形式で発表します。狭い分野の細かい技術の紹介や、細かい利用に関する主要なトピックの発表もありますが、ある会社が持っている機械翻訳のソリューションについてデモをしたり、ポスターで発表したりする形式をとります。

 

森口:基本的には学会イベントですが、企業だとか機械翻訳を生業にしているような人達も集まってきて交流する場所になりますね。

 

中岩:そうですね。テクノロジーショーケースはまさに MT サミットらしいもので、狭い技術に関する最先端のとんがった発表もありますけれども、それらを融合して今提供しているサービスやソリューションを展示という形で見せるわけです。

 

ユーザー側と研究開発側と両方がカバーされている場というのは多分他にはないかと思います。

 

森口:確かにそうですよね。

 

中岩:しかも MT summit は国際会議なんで、アメリカからもヨーロッパからもたくさん参加者が来ますし、先ほども話しましたが、日本で開催するのは 24 年ぶりです。次に日本でいつ開催されるかは分からないので、またとないチャンスです。

 

森口:本来だったら海外に行って聞かなきゃならないような内容を日本で聞けるっていうのはすごくめったにないチャンスですよね。

 

中岩: たとえば国内の言語処理学会だとかでも最先端の機械翻訳の技術とかは聞けると思うんですけれども、やはり利用者も含めた、しかも海外からの方も一緒になって最先端の技術を学ぶ場っていうのは MT サミットならではです。

 

 

森口:特にユーザー側の目線で、いろいろなトラックがあるっていうのも結構興味深いですね。これから機械翻訳をどう使えば良いのかを知りたい人にとっては、とてもいい勉強の場になるかなと思っています。招待講演も見どころですよね。

 

中岩:そこもポイントです。今回は、NMT が本格的に導入されて以降初めての MT summit ですから、日本の翻訳の利用に関して、大きなインパクトを与えたグーグルのほか、ニューラル翻訳を使った実際のサービスを提供している百度(Baidu)社、マイクロソフト社の 3 社の技術の専門家が集まって現状の MT と将来について語るというセッションがあります。

 

森口:これがすごいですよね。他ではまず聞けないですよね(笑)

 

中岩:これはほかで見たことないですね。多分このタイミングで、MTサミットだからこそ実現できた感じがします。

 

このほかにも NMT 時代にどうやってMT を活用するのか、ということに関するディスカッションのセッションがあったり、いろんな招待講演/ディスカッションがありまして利用から技術から全般を把握できるすごくいいきっかけとなります。

 

森口:名古屋大学なので東京にいる方は、移動をもちろん伴いますが、今までだったら海外に行かなきゃいけなかったところが日本にくる。

 

中岩:前回はマイアミ、前々回は二ースで、その前は中国のアモイでしたから、何しろ行くだけで大変です(笑)。

 

森口:日本開催を考慮して、特に日本の方々がパネルディスカッションをしたりとか日本人目線で行われる発表も多いかなという風に思っています。

 

中岩:JTF さんとのワークショップっていうのは、まさにそれですよね。しかも JTF とのワークショップだけは、特別に同時通訳をつけてます。

 

なので、国際会議は英語だから参加をためらうなって方もそのワークショップに関しては気軽に参加できると思います。

 

森口:本会議と前後にチュートリアルとワークショップがありますが、もちろん本会議から出ていただいたほうが割引も適用されますからお得ですが、本会議にもし出られないとしてもワークショップだけとか、そういう形でも参加はできますよね。

 

中岩:はい、やはり本会議がメインですので。一応本会議に参加した人がチュートリアルとかワークショップに参加するほうがお値段は安くなります。

 

先ほど言いましたようにやはり本会議が招待講演を含めて一番網羅的な発表が聞けるので、是非本会議に参加していただけたらなと思います。

 

それでも、何かの都合で参加できない方はワークショップだけでも参加していただくことは可能です。

 

森口:こんなに機械翻訳関連で盛り上がっているタイミングはめったにないので、是非この機会に皆さん参加していただけるといいなと思っています。

 

最後に、まとめというか、機械翻訳にこれからどう向き合いましょうか。

 

中岩:ニューラル翻訳が我々に与えたインパクトは、すごく大きいと思います。

 

まさに今の段階でいかに最先端の技術を把握してそれをビジネスに取り込んでいくか。特にユーザーの方々にとっては重要な局面になると思います。

 

機械翻訳という技術はボーダレスなものなので、別に日本だから外国だからという話ではないんですけれども、どちらにしろ今が大きなビジネスチャンスだと思いますので、是非そういう視点で機械翻訳の可能性を見ていただきたいと思います。

 

研究者側はバリバリ頑張ってやりますし、利用者側と研究側で盛り上げてっていうのは変に聞こえるかもしれませんけど、実際に使える機械翻訳にしていければなと思います。

 

森口:最終的にはコミュニケーションのバリアが取り除かれて、他国の人たちとのコミュニケーションがますます増えることが機械翻訳の最終的なゴールだと思うので、そういう機運につなげられたらいいですよね。

 

中岩:世界の中で日本の地位っていうのが以前に比べるとかなり弱くなっていると思うんですけど、一つの大きな要因はやっぱり言語じゃないかと思います。

 

昔の通産省の翻訳プロジェクトじゃないですけど、今こそ日本語の情報を海外に発信する重要な手段を国家的な戦略の一つにしていきたいですよね。2020 年、オリンピックもありますし、いろんな意味で機械翻訳に注力したい。いろんなサービスなりソリューションなりを提供するチャンスだと思います。

 

 

<終わり>

 

 

【インタビュアー】森口功造

【インタビュアー】森口功造

株式会社川村インターナショナル常務取締役。ISO TC 37 国内委員として、主にISO17100およびISO18587の策定に関わる。機械翻訳エンジンの活用や翻訳関連の標準化推進に注力。

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【本日のゲスト】中岩浩巳様(なかいわ ひろみ)

名古屋大学特任教授、アジア太平洋機械翻訳協会 会長、JTF監事

1987年名古屋大学大学院工学研究科博士前期課程修了、2002年名古屋大学博士(工学)。1987年日本電信電話(株)(NTT)入社、英マンチェスター大学客員研究員(1995年~1996年)、国際電気通信基礎技術研究所(ATR)研究室長(2002年~2004年)を経て、2014年 NTT退職。現在、名古屋大学大学院情報学研究科特任教授。NTT入社以来、機械翻訳の研究開発に従事。言語処理学会会長(2012年~2014年)、アジア太平洋機械翻訳協会(AAMT)会長(2012年~)、国際機械翻訳協会(IAMT)会長(2015年~)、日本翻訳連盟監事(2014年~)。

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KI の機械翻訳ソリューション

機械翻訳を導入したいが何から検討すればよいかわからない。そんな方への導入のための資料です。
(全14ページ)

資料の構成は以下のようになっております。

  • 機械翻訳エンジンの特性
  • 機械翻訳エンジンのご紹介
  • KIだから提供可能なソリューション

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