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医療翻訳におけるMedDRA. 川村インターナショナルの翻訳ブログ

医療翻訳におけるMedDRA

医薬品・医療機器関係の翻訳の際に参照するMedDRA。

医療分野の翻訳者、チェッカーの方には避けて通れないMedDRAについて、これから医療翻訳を開始される方向けに、翻訳会社の観点からご紹介します。 

目次[非表示]

  1. 1.MedDRAとは
  2. 2.使用する目的
  3. 3.使用方法
  4. 4.主な特徴
    1. 4.1.バージョン
    2. 4.2.階層
    3. 4.3.カレンシー
  5. 5.まとめ
  6. 6.川村インターナショナルの医療翻訳サービス
  7. 7.参考

MedDRAとは

MedDRA(「メドラ」と読みます)は、”Medical Dictionary for Regulatory Activities”(ICH*国際医薬用語集)の略で、特に医薬品・医療機器等の承認申請や安全性情報の評価・交換の際に必要になる用語集です。各国の規制当局および企業で、市販前・市販後のいずれの段階にも使用されます。

英語をベースに、症状、徴候、疾患名などが含まれています。ちなみに英語以外の言語もあり、英日版はMedDRA/Jです。

*ICH=医薬品規制調和国際会議


使用する目的

まず、医薬品・医療機器等が一般に販売されるまでに、約10年単位で長い年月をかけて、何度も試験が行われます。また、販売された後でも、安全性情報(副作用や不具合など)が収集されます。その間、報告される用語に一貫性がないと、重大な副作用が見落とされる恐れがあり、また、海外で実施された試験の情報を共有する際にも煩雑になってしまいます。

例えば、ある医薬品の開発中、治験*を受けている人から「犬にかまれた」と報告があったとします。一見、医学的に全く何の関係もなさそうですが、治験を受けている100人中、99人が犬にかまれていたとしたら、どうでしょう。その医薬品に何か原因があるように思えてきませんか。
そんな時、報告に「ペットにかまれた」、「動物にけがをさせられた」、「チワワにかじられた」など、使用される言葉に統一性がないと、それぞれ別物としてデータに蓄積されてしまい、実は多数の人が「犬にかまれていた」という事実が見えてきません。

そのため、一貫性のある用語を使用することが重要になり、MedDRAが活用されます。この例に関しては、MedDRA version 26.0のLLTでは「犬咬傷(Dog bite)」と収載されています。
使用された医薬品・医療機器等と無関係に見える事象でも、治験中や市販後に発生したあらゆる不具合は有害事象として国に報告され、データが蓄積されます。

*治験=医薬品・医療機器等の製造販売について国からの承認を得るために、実際に人に使用して効果(安全性や有効性)を確認する試験


使用方法

MedDRAは基本的に有料で、使用するにはJMO(MedDRAを管理している組織)への会員登録が必要になります。登録しないことには確認できず、Googleなどで検索しても閲覧することはできません

適切な翻訳サービスには欠かせないため、医療関係の翻訳会社は会員登録していることが多く、フリーランスの翻訳者、チェッカーの方が実際に使用される際には、クライアントである翻訳会社に、対応についてご確認ください。


主な特徴

日本語シノニム*の使用、SMQ(標準検索式)など複数の特徴がありますが、中でも最も基本的な特徴をお知らせします。

*シノニムとは 日本語表記が異なる用語(一つの英語に対する同義語の日本語)」を対応するMedDRAの「英語表記の用語」に関連付け整理した用語です。


バージョン

原則として年2回更新されるため、バージョンがあります。2024年3月現在の最新バージョンは26.1です。

使用された医薬品・医療機器等との因果関係が不明なものを含め、有害事象としてあらゆる健康上の不具合が報告されるため、用語が追加されたり、修正されたりしています。バージョンによって、同じ内容でも違う表記になることがありますので、必ずどのバージョンを使用するかをご確認ください。


階層

膨大な用語が収載されるため、層別化(グループ化)されていて、上位から順に、以下のとおり5つのグループがあります。

  • SOC(System Organ Class、器官別大分類)
  • HLGT(High Level Group Terms、高位グループ語)
  • HT(High Level Terms、高位語)
  • PT(Preferred Terms、基本語)
  • LLT(Lowest Level Terms、下層語)


一番下位にあるLLTは、PTに属し、PTはHTに属し…というように、SOCが一番幅広い分類です。

例えば、一般的にもよくある「発熱」は、以下の中のPTとLLTに収載されています。



階層

用語

SOC

一般・全身障害および投与部位の状態 / General disorders and administration site conditions

HLGT 

体温異常 / Body temperature conditions

HTL

発熱異常 / Febrile disorders

PT

発熱 / Pyrexia

LLT

発熱 / Pyrexia


LLTが一番細かい分類になるため、報告にはLLTを使用するのが良さそうに見えますが、副作用報告では使用するデータ仕様が規制で定められていますので、どの階層を使用するかは、案件ごとにご確認ください。


カレンシー

実際にMedDRAで用語検索すると、同じ単語がいくつも出てくることがあります。

例:

  • 発熱/Pyrexia
  • 発熱/Fever

LLTの用語を使用する場合は、用語ごとに、カレンシーフラグ(カレント)NYかが記載されています。NとYを記載する意味ですが、特別に指定がない限りはY(カレント)の用語を使用します。

これがN(ノンカレント)のものは、便宜上削除されずにおいてはありますが、スペルが誤っていたり、古いものだったりするため、基本的に使用されません。カレントは、MedDRA上ではLLTの詳細情報の下部に記されていますので、細かく確認が必要です。


まとめ

MedDRAを適切に使用することは、医療翻訳では必要不可欠です。一方、書類の種類によってはMedDRA使用が必須でない場合もあります。知らずに誤訳してしまっている、という状況にならないためにも、翻訳を開始される際には翻訳会社にMedDRAの対応についてご確認ください。


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参考

JMO 
https://www.jmo.pmrj.jp/
厚生労働省通知 
https://www.pmda.go.jp/files/000156794.pdf
https://www.pmda.go.jp/files/000217358.pdf
製薬協 
https://www.jpma.or.jp/about_medicine/index.html
ICH国際医薬用語集(MedDRA)バージョン26.0 手引書https://admin.meddra.org/sites/default/files/guidance/file/SMQ_intguide_26_0_Japanese.pdf
ICH-M1 
https://www.pmda.go.jp/int-activities/int-harmony/ich/0032.html
ICH-E2
https://www.pmda.go.jp/int-activities/int-harmony/ich/0024.html


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