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翻訳者トライアル合格への道 ④ 評価編

前回までのブログでは、翻訳者トライアルに対応する際の注意点について解説しました。4回目最終回の今回は、トライアルはどのように評価され、契約に至るのかについて解説していきます。トライアルの結果、契約に至るのはどのような翻訳者なのでしょうか。


前回までの記事はこちら。

第1回:翻訳者トライアル合格への道 ① 翻訳会社におけるトライアルの位置付け

第2回:翻訳者トライアル合格への道 ② トライアルで注意すべき点

第3回:翻訳者トライアル合格への道 ③ トライアル課題の提出まで

目次[非表示]

  1. 1.トライアルのその後
  2. 2.どのように評価するか
    1. 2.1.①訳抜け
    2. 2.2.②誤訳 (原文言語理解の誤り)
    3. 2.3.③誤訳(原文内容/コンテンツの読解ができていない)
    4. 2.4.④指示違反
    5. 2.5.⑤訳文の文法/表記のエラー、エラーに該当する不適切な表現
    6. 2.6.⑥翻訳支援ツールに関連するエラー (使用した場合)
    7. 2.7.⑦その他
  3. 3.おわりに
  4. 4.川村インターナショナルの翻訳サービス

トライアルのその後

トライアルの審査は、トライアルファイルを受領 (受信) する時点から始まります。つまりはファイルの提出方法が指示通りとなっているか (圧縮ファイルで提出するのかどうか、ファイル名の命名規則を守っているか、メール添付か TMS などのシステムにアップロードするか、など)、受け答えの文面が常識的なものになっているか (あて先の記名がない、内容を記載していないなどのメールは実際に存在します) などもトライアル審査に含まれていると判断してよいでしょう。特に提出方法は実際の納品にも関連しますので、提出前に再度確認することが重要です。

受領後、翻訳会社はファイルの内容を簡単に確認します。名前や作業時間などの入力漏れがないか間違って原文ファイルを送ってきていないか回答ファイル内の形式が正しいものになっているか (原文上書きなのか原文併記なのか)、申し送りファイルがあるか、などです。こういった点も以外とミスが多いため、減点の対象になります。名前の入力漏れも多いため、送信前に再度ファイルを開いて確認することは重要です。

どのように評価するか

 トライアルの評価は社内で規定されているトライアル評価表に基づいて行います。評価ポイントは各社異なると思いますが、以下のような点が確認されます。評価は基本的に減点方式で採点されます


①訳抜け

- 翻訳対象にもかかわらず、訳されていない、あるいは欠落している文章が存在する場合、減点されます。


②誤訳 (原文言語理解の誤り)

- 原文文法上の解釈の誤り。原文の構文構造が正しく理解されていない、あるいは、単語の意味が間違って訳出されている場合、減点されます。意訳を行った場合はその箇所と判断の経緯を申し送りしないと、誤訳とみなされるケースがありますので注意しましょう。


③誤訳(原文内容/コンテンツの読解ができていない)

- 原文の構文構造および単語レベルの意味は正しく理解されている可能性はあるが、文書の目的、文脈という視点でみたときに、原文が表している内容を正しく理解していないと判断された場合、減点されます。主に日本語の表現能力の問題ですが、原文の内容を正しく伝えるために常に日本語表現は磨きましょう。


④指示違反

- 作業指示にしたがっていないと判断された場合、減点されます。スタイルガイドが提供されている場合はそちらに従います。案件によって適用されるスタイルガイドが異なるケースは頻繁にありますし、スタイルガイドの内容と方針をすばやく理解するのは翻訳者の責任でもあります。また、経験や能力が問われる箇所でもありますので、さまざまなケースを想定しておくことが重要です。

トライアルでは故意に特殊なスタイルを指示している場合もありますので、よく確認します。


⑤訳文の文法/表記のエラー、エラーに該当する不適切な表現

- 誤字、脱字、誤記 (英数字の誤り、句読点の誤りなど)。極端に不自然で意味をなさない訳文になっている場合、減点されます。納品前のモノリンガルチェック、また導入されている場合は各種ルールなどを使用してささいなミスもつぶしておきます。こういったエラーは複雑な経緯で発生するわけではなく、単なる確認不足で発生するケースがほとんどです。つまりは訳文に対する集中力の欠如が原因ですので、トライアル程度の分量ではゼロ件であることが望ましいです。


- 用語集や規約に記載されていない、あるいは、事前の指示がない場合の表記ゆれは減点対象となります。表記の揺れは発生しやすい典型的なエラーの一つですのでツールなどでも検出できるようにしておきたいものです。

- 呼応関連のエラー、コロケーションエラーも減点対象となります。コロケーションは翻訳の最中には気づきにくい点ですので、翻訳完了後の精読は必須です。


- 原文コンテンツは正しく理解しているが、訳文・訳語が適切に表現されていない場合も減点されます。トライアル分野に適切な用語を使用しているか、特に IT などの分野の場合は使用している用語で知識の深さに差が出ますので、適切な用語を使用しているか確認しましょう。


⑥翻訳支援ツールに関連するエラー (使用した場合)

- ツールの操作や、利用方法が適切でない場合は減点対象です。まれではありますがツールを指定したトライアルも実施することがあります。指定ツールが TRAODS であれば、使用バージョンやファイルの納品方法 (返却パッケージでの納品、TM も納品するのかどうかなど) を細かく確認しましょう。


⑦その他

- 上記のカテゴリに当てはまらないその他のエラーです。


おわりに

以上の点に合格し、晴れて翻訳者登録となります。上記の評価ポイントはトライアルだけでの観点ではなく、その後の翻訳業務でも重要な点となります (もちろんそれゆえにトライアルで確認しているわけですが)。実際の翻訳取引が始まったあとは忘れがちになりますので、常々振り返って確認するとよいでしょう。



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