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翻訳者トライアル合格への道 ②

前回のブログ「翻訳者トライアル合格への道①」では、翻訳者トライアルの実情について解説しました。今回は、実際のトライアルで注意すべき点について解説していきます。トライアル訳文の作成前、作成中、納品前に行っておくべきこととは一体何でしょうか。

目次[非表示]

  1. 1.従うべきスタイルはどれ?
  2. 2.訳抜け、誤字脱字は問題外
  3. 3.原文の内容、対象読者を理解する
  4. 4.原文のまま残す?残さない?
  5. 5.川村インターナショナルの翻訳サービス

従うべきスタイルはどれ?

トライアル訳文を作成するにあたって適用すべきスタイルの指示がある場合があります。トライアル用の簡易スタイルガイドが提供されることもあれば、スタイルの指示がない場合もあります。スタイル指示がある場合はそちらに従うのが絶対ですが、特に指示がない場合、Microsoft が提供しているスタイルガイドを適応するのがIT 翻訳では一般的です。

Microsoft スタイルガイド

https://www.microsoft.com/ja-jp/language/styleguides

メモリや参照資料が提供されている場合、その訳文に適用されているスタイルをトライアル文にも適用するのがよいでしょう。資料からは判断できないスタイルは Microsoft スタイルガイドを参考にするか、または既存のスタイルと親和性の高いルールを採用するとよいでしょう (たとえば、全角と半角文字間にスペースを挿入するスタイルであれば、カタカナ複合語間もスぺースを挿入するようにする、など)。

どのスタイルを適用する場合でも重要なのが、「文章の中で一貫性を持たせる」ということです。文章内でのスタイルの「揺れ」は、採点者は絶対に見逃さない点ですし、トライアルという限られた文章内で統一できないとなると、もっと膨大な文字数である発注案件は任せられない、という評価になるのは想像に難くありません。トライアル納品前に、スタイルの一貫性についてのみの推敲も行うことをお奨めします


訳抜け、誤字脱字は問題外

トライアル訳文で最も注意すべきなのは間違いなく「訳抜け」です。単語単位、フレーズ単位で翻訳が抜けている状態、そしてその状態のまま納品してしまうことですが、その原因は単なる注意不足や訳文の創意工夫中の漏れ、文章のコピペミスによるものなど様々です。トライアル訳文という、短くも重要な文書のなかで訳抜けが発生するのはにわかには信じ難いことですが、実際に結構な頻度で発生しています。ただし、ある単語が訳に反映されていないことは読みやすさを考慮した上での意図的なものもありますので、もし可読性を考慮して原文の要素を無視したり意訳した場合はその点について申し送りすることが重要です。

また、訳抜けと同様に「誤字脱字」も原因がシンプルの割には目につきやすく、大きな減点の対象となりやすいエラーです。翻訳に集中するあまり自分でも気づかない変換ミスをしている可能性がありますので、校正機能を持つツールや、誤字脱字のチェックに専念したモノリンガルでの確認を行うべきです

この二つのエラーはどちらもセルフチェックで回避できる (回避すべき) エラーです。いずれも発生がないよう、納品前のチェックを怠らないようにしてください。

原文の内容、対象読者を理解する

トライアルで提供される原文はおよそ100ワード~1000ワードですが、可能な限り背景情報を確認し、理解した上で訳文作成に臨むべきです。訳文の部分だけを字面だけで訳出したものと、その背景を理解して訳出した訳文は、評価者にはわかってしまうものです。原文の出典を提供される場合とそうでない場合がありますので、含まれる固有名詞や URL をもとに情報収集して臨みましょう確認した文献や Web サイトを参考資料として提出することも重要です。

また、文書の「対象読者」を想定することも重要です。読む相手をイメージできていない訳文は選択する用語や訳調に迷いが生じ、読みにくくなります。必要があればこの点も事前に翻訳会社に確認することが重要です。


原文のまま残す?残さない?

トライアルでは、翻訳者の英文理解力、日本語作成能力に加えて、原文調査力も問われています。翻訳者には、原文に不明な用語や事柄、概念が含まれている場合にすぐに調査し、(たとえ表面的にでも) 理解する能力が求められています。固有名詞なのか単なる作者の強調フレーズなのか、すでに人口に膾炙した言葉なのか新しい概念なのか、はたまた英語のままにすべきなのか正式な日本語が存在しているのかどうかを調査して確認しなければいけません。固有名詞であれば必ずオフィシャルな Web ページの存在を確認し、正式な名称が存在する場合はそれに従うのが鉄則です。特に製品名は、調査を十分に行っているか否かの試金石になります。必ずオフィシャルページで確認し、完全に表記をそろえて採用するようにしてください。特殊な判断をした場合はその理由も添えてやはり申し送りをするのがベストでしょう

いかがでしたでしょうか。翻訳を行う上で当然のことばかりではありますが、意外と守られていないことが多いのも実情です。トライアル訳文という特殊な状況下ではありますが、普段の翻訳以上に丁寧に見直し、実力を存分に発揮することが重要だと言えます。


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