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翻訳を効率的に仕上げる秘訣~差分翻訳~

翻訳には「新規翻訳」と「差分翻訳」という2つの種類があります。

新規翻訳とは、今まで一度も翻訳されたことのない文章を1からすべて翻訳することです。それに対して差分翻訳とは、過去に翻訳済みの文章に改定/更新がかかり、単語単位・文章単位・段落単位で変更・修正が生じており、全体ではなく変更のかかった部分のみ翻訳してほしい場合に行う翻訳です。

差分翻訳はよくマニュアル取扱説明書規約等で起こります。ドキュメント全体を変更するのではなく、オリジナルの文章に部分的な更新がかかった結果の翻訳が起こりやすいからです。

今回なぜ差分翻訳を取り上げるかというと、ミスやトラブルが発生しやすく、変更箇所の分量のわりに時間もコストもかかりやすいからです。

今日はこの記事を通じて、差分翻訳でよく起こるトラブルとその解決法をお伝えしたいと思います。

目次[非表示]

  1. 1.トラブル① ぼったくられてる?
  2. 2.トラブル② 変更箇所がわからない?
  3. 3.トラブル③ 既訳部分との整合がとれていない。
  4. 4.CATツール(翻訳支援ツール)を使えば全部解決!
  5. 5.KIのサービス

トラブル① ぼったくられてる?

差分翻訳における見積もり料金で誤解が生じがちなのは、「変更が生じた部分だけ、翻訳料金が発生する」と思われやすい点です。

例えば、日本語から英語の翻訳の場合、単語1つ(2文字)分だけ変更がかかったのであれば2文字分だけの料金の支払いになる、と思われるかもしれません。しかし、英文では変わった単語だけ変更すればよい、というわけではなく前後の単語や文章全体を書き換えないと意味が通じなくなってしまう場合があります

つまり、翻訳者には変更が生じた箇所だけではなく、文全体を見直して誤りや不自然さがないかを確認してもらう必要があります。そのため、たとえ1つの単語(2文字)の差分であったとしても、文全体の文字数を翻訳対象とする必要があります。


トラブル② 変更箇所がわからない?

差分翻訳でよく用いられるツールはMicrosoft OfficeのWordです。なぜかというと、変更履歴付きの文章があれば、どこに変更/更新がかかったかが一目でわかるからです。

翻訳会社では、お客様からいただいた修正履歴付きのファイルに基づいて、見積もりと翻訳作業を行っていきます。そのため、修正履歴が残っている部分が作業対象となるという認識です。

しかし、お客様が元の原稿を確認されるときに何人もの担当者が目を通したり、時には担当の方が変わったりということも起こるため、修正履歴が残っている箇所以外にも反映済みの変更/更新が発生していることがあります。そうなると差分の箇所が不明瞭になってしまうこともあるので、Wordで依頼される際には、変更がかかった箇所に履歴や印をつけることをお勧めします。

トラブル③ 既訳部分との整合がとれていない。

差分翻訳の対象となる文章は往々にして、分量の多いものが大部分を占めます。このような分量の多いドキュメントでは特に、お客様にとって、文章内の単語や表現が、翻訳先の言語でも統一されていることが望ましいでしょう。

もちろん、翻訳者や翻訳チェックを行うチェッカーは、表現の揺れが生じていないかを確認しながら作業を進めます。しかし、Wordを用いたマニュアルの翻訳ではどうしても限界がありますし、分量の大きな文章であればなおさらです。またその確認を取るために時間が長くかかったり、コストがかさんだりという問題もあります。

更新を重ねれば重ねるほど不整合が多くなってしまう可能性は避けられません。

CATツール(翻訳支援ツール)を使えば全部解決!

CATツールとは、SDL TRADOSやmemoQに代表される翻訳支援ツールのことです。

このツール上で翻訳を進めると、原文と訳文をセグメントごとに対で記録することができます。この対になったデータベースをTranslation memoryと呼びます。

このTranslation Memory(以下TM)を活用すると、トラブル①で挙げた料金も、変更が発生した個所の文の文字数をすべてカウントするのではなく、原文にどの程度の変更がかかったか、翻訳者にどのくらいの負荷がかかるかを自動的に計算してくれるため、変更の度合いによって料金を算定することが可能となります

また、トラブル②の場合でも、TMがあればどこにどれだけの変更がかかったかを機械的に一瞬で確認することができます。そのため、変更箇所の作業漏れがなくなりますし、お客様ご自身がドキュメントの差分を確認して翻訳会社に提出する必要もなくなります。さらに、TMを使用することで、ExcelやPPTなど、いろいろなファイルで差分翻訳を行うことが可能となります。まさに両方にとっていいことづくめです。

トラブル③も同様です。CATツールを使えば、原文と訳文が対になっているメモリを使用することができるので、差分翻訳時に似たような表現があれば確認することができます。そのため、たとえ旧版が膨大な量であっても、更新版が何度改定を重ねていても、文章内の整合を取ることが可能になります

すでに改訂前のオリジナルのドキュメントをCATツールをつかわずにWordなどを使って翻訳してしまっている場合でも、次の改定時に向けて、TMを作成することができます。TMの作成はCATツールを用いて手動で原文と訳文をマッチさせ、記憶させていくという作業が必要になりますので、もちろん時間と料金がかかります(TM作成の方法の一例は、翻訳メモリの活用 第2回: 翻訳メモリの作り方)。しかし、その後の作業が格段に楽に、正確になりますので、ぜひこの機会にCATツールを導入して差分翻訳を進めていくのはいかがでしょうか。​​​​​​​


KIのサービス

川村インターナショナルでは、翻訳メモリに準じた翻訳を提供することはもちろん、翻訳メモリの作成も承っております。翻訳資産(用語集、翻訳メモリ)を活用し、高品質・コスト削減へ。資産作成から管理まで、翻訳業務を効率化する様々なサポートのご提案が可能です。翻訳依頼・見積もり依頼はこちらのフォームから、お気軽にお問い合わせください。

翻訳サービスの国際規格 ISO17100と情報セキュリティに関する国際標準規格 ISO27001(ISMS認証)の認証も取得しています。


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KIマーケティングチーム

KIマーケティングチーム

川村インターナショナルWebマーケティングチームです。開催予定セミナーやイベントの告知、ブログ運営などを担当しています。

機械翻訳をいかに活用するか(ホワイトペーパー)

本資料は、機械翻訳(MT)導入を比較ご検討の際思い浮かべる疑問を解消し、活用のニーズ、「ポストエディット」「用語集」などのキーワードについても解説いたします。(全62ページ)

資料の構成は以下のようになっております。

第一章   はじめに
第二章   機械翻訳(MT)活用のニーズ
第三章   機械翻訳(MT)と(HT)の違い
第四章   機械翻訳と関連技術
第五章   MT導入時に知っておくべき6つのポイント
最後に

など

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