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翻訳の誤りとは ~4つの分類とチェック

翻訳会社では、翻訳者の方が訳した文章を、お客様に納品する前にチェックしています。原文と訳文を突き合わせて翻訳に誤りがないか確認し、間違いがあれば修正をして*、最終的な納品物に仕上げます。

では、そもそも「翻訳の誤り」とは何でしょうか。訳文をチェックするといっても、修正すべき対象がわからなくては作業になりません。かといって、手当たり次第に修正してしまうのは、効率が悪いだけでなく信頼性にも欠けます。適切にチェックするには、根拠が必要です。根拠とは、何が誤りであるかを定義し、修正理由を説明できるということです。

目次[非表示]

  1. 1.翻訳の誤りの種類
    1. 1.1.① 英文の理解の誤り
    2. 1.2.② 日本語表現の誤り
    3. 1.3.③ ルール違反
    4. 1.4.④ ツール操作のミス
  2. 2.おわりに
  3. 3.KIのサービス

翻訳の誤りの種類

ここで、翻訳において起こりやすいミスを、大きく4つに分類してご紹介します。分類することで、修正の必要な項目を明確にすることができます。このような分類を頭に入れておくと、チェックの効率化と精度の向上に役立ちます

誤りの内容をより具体的に示すために、ここでは英語から日本語への技術文書の翻訳を例に、ご説明します。

① 英文の理解の誤り

1つ目の分類は、原文の内容を正しく理解できていないために、訳文が間違ってしまうケースです。いわゆる「誤訳」と呼ばれるもので、文法を正しく解釈できていない、慣用句をそのまま訳してしまうなどのミスが挙げられます。翻訳では、原文の内容が過不足なく訳出される必要がありますが、原文に書かれていることが訳文に書かれていない「訳抜け」はよくあるミスです。逆に、「原文にない要素を訳文に追加してしまう」のもミスとなります。訳抜けの中で特に重大なミスが、否定の「not」の訳し漏れです。原文と訳文の意味が正反対となるため、文書の正確性が大きく損なわれてしまいます。

また、単語の単純な見間違えもあります。「deploy」と「develop」、「tile」と「title」などです。初歩的なミスと思われるかもしれませんが、一度別の単語だと思い込んでしまうと、何度見直しても間違いに気づけなかったりするものです。

さらに、「調査不足」「専門知識の不足」もこのカテゴリに分類されます。専門的な用語を調査せずに自分の思い込みで訳してしまうなどのミスです。

② 日本語表現の誤り

英文は正しく理解できているのに、日本語の表現に問題がある場合もあります。これが2つめの分類です。「全然~ある」「決して~ある」のような呼応表現の誤りや、主語と述語が対応していない主述のねじれ(「データを画面に表示された」)はよくある誤りです。技術文書に口語が使用されているというような文体の選択ミスや、敬語表現の誤用なども修正が必要です。

また、日本語の「不整合」「不統一」というミスもあります。敬体と常体が不必要に混在していたり、箇条書きで句点の有無が統一されていなかったり、ひとつの言葉が漢字とひらがなで書かれていたりするものです。こうした不統一には意図的なものや許容されるものもありますが、技術的な文書では大半は修正対象となります

さらに「タイポ」といわれる、単純な入力(タイピング)ミス変換ミスもあります。
この分類の誤りは、正しい日本語の文として成立していないため、訳文だけを読んでも見つけられるものが多いです。 

③ ルール違反

多くの場合、翻訳会社で扱う翻訳にはルールが存在します。たとえば、表記規則文体、頻出表現を定めたスタイルガイドや、専用の用語集などです。これらのルールの違反が3つ目の分類です。翻訳会社にとっては、この「ルール違反」が、ある意味では最も重大な問題かもしれません。なぜなら、こうしたルールはお客様の要件である場合も多いからです。

また、ルールを定めることで訳文の仕上がりを均一化している側面もあるため、一部のルール違反が全体の品質の低下につながりかねません。②で「不統一」「不整合」を上げましたが、ルールを守らないために不統一になっていることもよくあります。守るべきルールを理解することで、表現の揺れはある程度防げます

さらに、このような指定されたルールというのは、語学力があればある程度は気づける(防げる)①②のミスと比べると、作業指示や資料をよく読み込んで確認する必要があります。その点で、①②をチェックするのとはまた別の注意力が求められると言えます。

④ ツール操作のミス

4つ目としてご紹介したいのが、ツール操作に起因する誤りです。多くの翻訳会社では、特に技術翻訳で、TradosやMemoQといったCAT(コンピューター支援翻訳)ツールを導入しています。翻訳やチェックはこれらのツールのエディタを使用して行うことになります。この場合、①②③のような誤りはほとんどない翻訳者の方でも、ツール操作に不慣れであるためにミスをする可能性があります。たとえば、翻訳メモリ**の訳文を精査せずに採用してしまう、あるいは技術情報を含むタグを誤って削除してしまうなどです。

また、エディタに用語集のシステムがあらかじめ設定されている場合、操作方法に熟達していないと用語の検索漏れが起こりえます。Excelやテキストファイルで提供される用語集であれば正しく検索できるのに、ツールが変わることで作業の質が落ちてしまうというケースです。

このようなツール操作によるミスは、「そのようなミスが起こりうる」と理解していなければチェックするのも難しいものです。起こりうるミスを事前に把握していれば、チェックの効率も上がります。​​​​​​​


おわりに

ここまで、翻訳の誤りを4つの分類で見てきました。このような分類を知っていると、チェックで見るべきポイントが明確になります。

また、翻訳者の方にとっても、上記の分類を把握しておくことは有用ではないでしょうか。見直しの際に役立つのはもちろん、ミスを分類することで自分の傾向もわかるため、弱点を補強できます。

冒頭で、「適切にチェックするためには、根拠が必要です」と書きました。「根拠」とは、「何が誤りだったのか」「なぜ直したのか」、さらには「なぜ直さなかったのか」を説明できることです。根拠のないままチェックしてしまうと、気になった個所を繰り返し修正したり、必要以上に直しすぎてしまったりします。本来しなくてよい修正を入れることは、翻訳者の方の成果物を自分の好みで作り変えることになり、あまり望ましくありません。これは個人的な意見になりますが、誤りの少ない訳文を作ることが質の高い翻訳とするなら、修正が必要な個所のみを過不足なく修正すること質の高いチェックではないかと考えています。決して簡単なことではありませんが、翻訳者の方の訳文を尊重しつつ、お客様のご要望に確実に応えられるように、翻訳会社も努力していきます。

*コスト面や納期の制約や案件の種類によっては、お客様にご了承いただいた上で翻訳文をそのまま納品する場合もあります。また、原文と訳文を突き合わせるほかに、訳文だけに目を通すチェックや専門知識に誤りがないかを確認するチェックなどもあります。
**CATツールでは、翻訳した内容を翻訳メモリに保存しておき、次に類似の原文が出てきたときに参考にすることができます。


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