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翻訳メモリの活用 第1回: 翻訳メモリ入門

翻訳資産」という言葉をご存知でしょうか?日本ではあまり耳にしない言葉ですが、海外では翻訳資産という言葉がよく用いられます。多くの場合翻訳資産とは、翻訳メモリ、用語集、スタイルガイドといった、翻訳作業において活用される資料や言語データを指します。

製品やサービスを自国外に現地語で展開している欧米企業では、翻訳は単なる一過性の作業ではなく、製品のリリースサイクルと連動して継続的に発生するものと捉えられています。また、展開する言語はひとつではなく多くの場合、複数言語へ展開しています。そのような中で、翻訳から生まれる様々な言語データは「資産」として大切に管理・運用されています

今回の第一回では、翻訳資産の中でも中核となる「翻訳メモリ」について、その活用方法とメリットを説明します。

目次[非表示]

  1. 1.翻訳メモリとは?
  2. 2.翻訳メモリの活用方法
  3. 3.翻訳メモリのメリット
  4. 4.産業翻訳には必須のツール
  5. 5.まとめ
  6. 6.川村インターナショナルの翻訳サービス

翻訳メモリとは?

翻訳メモリまたはTM(Translation Memory)とは、原文と訳文を対にして登録することができるデータベースを指します。

翻訳メモリに登録するテキストの単位は、基本的に文章(センテンス)単位です。用語集が単語またはフレーズ単位で登録されたデータベースであるのに対して、翻訳メモリは翻訳対象の文書文章単位に分割してデータベースに格納します。

また、翻訳メモリは原文と訳文だけでなく、登録日時、更新日時、登録者情報、登録元となった文書のタイトルなどの追加情報を付与して、管理性を高めることができます。

さらに、近年の翻訳メモリは原文と訳文のほかに、直前の原文の情報を付与することで、ある程度の文脈情報を考慮する機能も備わっています。

翻訳メモリの活用方法

翻訳メモリの活用には、翻訳支援ツールまたはCATツール(Computer Aided/Assisted Translation Tool)と呼ばれると呼ばれるソフトウェアを利用する方法が一般的です。

翻訳支援ツールを利用して翻訳メモリを参照し、過去の翻訳を流用することにより、効率的に翻訳作業を進めることができます

翻訳支援ツールが参照する翻訳メモリは、多くの場合独自のファイル形式であるため、ソフトウェア間の互換性はありませんが、最近はツールに依存しない互換形式のTMX(Translation Memory eXchange)というファイル形式に変換すると、異なるツールの間でも翻訳メモリのやりとりができます。


翻訳メモリのメリット

翻訳メモリは、過去に翻訳したことのある文章をデータベースに格納し、新規文書の翻訳時に再利用することで人手翻訳の効率化と、訳文の統一を図るものです。

翻訳者は翻訳支援ツールを用いて翻訳作業時に、翻訳メモリに流用できる既存の翻訳があるかを確認します。一致する文章がある場合は人手で翻訳するのではなく、翻訳メモリを使い翻訳作業効率を上げます。

一度翻訳した文章は二度と人手で翻訳しない。」これが翻訳メモリの基本的な思想です。

最も翻訳メモリが威力を発揮するのは、定期的に改訂が行われる「製品マニュアル」などの技術文書です。例えば、毎年新モデルが出る製品は「製品マニュアル」にも変更が入りますが、変更点は製品の一部で、大部分は前モデルから変更が無い場合があります。

この場合、前モデルの翻訳データを資産(翻訳メモリ)としておくことで自動的に既存の翻訳を流用できます。人手(=コストと時間)の翻訳をする必要があるのは、新機能をはじめとする追加・変更箇所のみです。

これにより削減される作業期間とコストは、安い翻訳業者を探したり、業者間で価格競争を行うことよりも大きなメリットとなります。

ただし翻訳メモリに不向きな文書もあります。同じ原文であっても文脈によって訳し分けをしたり、原文と訳文を一対で訳さず自由に翻訳する場合です。その場合は、翻訳者のクリエイティビティに翻訳メモリが枷となります。

産業翻訳には必須のツール

翻訳メモリは、効率化(=コストダウン)のために開発されたツールです。産業翻訳といわれる分野において生産性は品質と並ぶ重要な要素であり、品質においても過去の翻訳との統一は必須条件です。翻訳メモリ無しに効率化(=コストダウン)を実現することは大変難しいと言えます。

企業内で上記のような文書の翻訳に関わっていて、まだ翻訳メモリを使っていない場合は是非、活用をお勧めします。最近では、ニューラル機械翻訳の登場により機械翻訳を活用した効率化が流行していますが、翻訳会社としてはまず、既存の翻訳を「資産」として活用し、その上で機械翻訳の活用を検討することをお勧めしています。


まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は翻訳メモリの概要とメリットについて説明しました。第二回は「これから翻訳メモリを活用する方に向けた、具体的な方法」を紹介します。

第一回まとめ
  • 翻訳メモリは原文と訳文を対訳形式で格納するデータベース
  • 翻訳メモリは翻訳支援ツールを用いて活用する
  • 翻訳メモリを活用することで、コストと納期を削減しつつ、品質を向上することが可能
  • 翻訳メモリにも向き不向きはあるが、産業翻訳の領域では必須ツールに


川村インターナショナルの翻訳サービス

川村インターナショナルでは、翻訳メモリに準じた翻訳を提供することはもちろん、翻訳メモリの作成も承っております。お客様が抱えるあらゆる問題について、包括的なソリューションを提案いたします。翻訳依頼・見積もり依頼はこちらのフォームから、お気軽にお問い合わせください。

翻訳サービスの国際規格 ISO17100と情報セキュリティに関する国際標準規格 ISO27001(ISMS認証)の認証も取得しています。

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