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「なぜか読みにくい」訳文の正体⑤整理下手は翻訳下手

翻訳された日本語が、どこか読みにくいと感じたことはないでしょうか。意味が間違っているわけではないし、訳し漏れもないし、専門用語も正しく使われている。なのに読みにくい!表現が不自然!こなれていない!

このような訳文は、なぜ生まれてしまうのでしょうか。どうすれば自然な日本語になるのでしょうか。本連載では、「なぜか読みにくい」訳文の正体を突き止めるとともに、不自然さを解消する手段を考えていきます。


(前回までの記事:①遠距離でのすれ違い②命なきモノ③要なき主④アレがコレでソレだから

目次[非表示]

  1. 1.長話は困ります?
  2. 2.支離滅裂
  3. 3.整理整頓
  4. 4.展開を辿る
  5. 5.川村インターナショナルの翻訳サービス

長話は困ります?

「ああ、もう!話が長い!!要するに何を言いたいわけ?!」

今日もこんな(心の)叫びが、世界中から聞こえてくるようです・・・。

話が長くて要領を得ないのは困りもの。おかげで会議がなかなか終わらない・・・。翻訳でも、ダラダラと続く訳文は、意味が頭に入ってきませんよね。

でも、問題は「長い」ことではありません。情報が整理されておらず、話があっちに飛んだりこっちに飛んだりして、要点が分からない。だから困るのです。ちゃんと筋道を立てて説明してくれれば、長くても理解できるはず。


支離滅裂

では今回も例文を見ていきましょう。とても長い一文ですので、お覚悟を。​​​​​​​


観光相はこれまでに複数回バチカンを訪問しており、前回の訪問は、フランシス教皇による4月の歴史的なエジプト訪問の後、エジプトにおける、特に宗教的な観光に興味のある旅行者の多くを呼び込むことが見込まれる、聖家族の旅にまつわる宗教観光の促進に向けて、エジプトとバチカンがどのような協力体制を築くかについて議論するため、5月に行われました。


いかがでしょう?すんなり頭に入ってきましたか?

英語は関係代名詞で節をつなぐことで、1つの文が長くなることがあります。これは英語では普通のことなのですが、何も考えずに単語レベルで訳を付けていくと、論理展開が破綻した意味不明な日本語になってしまいます。

さて、この一文の中で散らかってしまった情報を整理してあげないといけません。まずは連載第1回で紹介した「主部と述部を近づける」という方法を使ってみます。 


観光相はこれまでに複数回バチカンを訪問しており、前回の訪問は、フランシス教皇による4月の歴史的なエジプト訪問の後、エジプトにおける、特に宗教的な観光に興味のある旅行者の多くを呼び込むことが見込まれる、聖家族の旅にまつわる宗教観光の促進に向けて、エジプトとバチカンがどのような協力体制を築くかについて議論するため、5月に行われました。


間にすさまじい量の情報が挟まっていますが、「前回の訪問は」が主部で、それに対応する述部は「5月に行われました」ですね。要するに「前回バチカンに行ったのは5月」ということです。こんな簡単なことが、情報が整理されていないせいで全然伝わってきません。

他の情報も整理していきましょう。灰色にした部分は、5月の訪問の際に議論した内容のようです。エジプトとバチカンが観光事業で協力する、ということでしょうか。


整理整頓

この文の情報をざっくりまとめてみました。

  • 観光相は何度かバチカンを訪問している
  • 前は5月に行った(4月に教皇が来た後)
  • その際、宗教観光の促進に向けた協力体制の確立について議論
  • 主な議題は聖家族の旅(参照サイト:エジプト政府観光局- 聖家族
  • これで大勢の観光客を呼び込めそう

一つひとつの情報に、それほど難解なものはありません。整理して適切な語順にすれば、意味が通った文になるはずです。

観光相はこれまでに複数回バチカンを訪問しています。前回は、フランシス教皇による4月の歴史的なエジプト訪問の後、5月にバチカンを訪れており、エジプトの宗教観光の促進に向けて、エジプトとバチカンがどのような協力体制を築くかについて議論しました。主な議題となった聖家族の旅により、宗教的な観光に関心のある旅行者を多数呼び込めるものと期待されています。

このような形にしてみました。最初の文よりは伝わりやすくなったでしょうか。

文を3つに分けていますが、ポイントはそこではありません。「誰がいつどこで何をどうした」のか、整理して書いていくことが大事だと思います。


展開を辿る

情報をまとめていくと、意外と原文に近い語順になることが多い気がします。もちろん英語と日本語は文法構造が違うので、完全に同じ順番というわけではありませんが、「ああしたから、こうなった」「こういうことがあった。具体的には・・・」のような話の展開を原文に合わせると、情報量が多くても、うまくつなげられるはずです。

たとえば、元の訳文は「5月に行われました」で終わっています。しかし、5月のくだりは英語だとかなり前の方にあって、「前回は5月に訪問→そのとき観光事業について協議した→特に聖家族の旅について→観光客増加が見込まれる・・・」と話が続いていきます。「5月に行われました」が最後に来ると、それが結論であるかのような印象を受けますが、英語の順番に近づけてあげることで、書き手の意図を日本語でもっと正確に再現できると思います。

また、このように情報の順番(話の展開)が大きく変わると、前の文や次の文とのつながりが悪くなってしまうこともあります(分かりやすい例が見つかったら、こちらの連載で紹介しますね)。

ちなみに、変更後の訳文の方が文字数は多くなりました。つまり話が長くなったわけですが、やはりちゃんと伝わることの方が重要だと思います。


川村インターナショナルの翻訳サービス

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KIマーケティングチーム

KIマーケティングチーム

川村インターナショナルWebマーケティングチームです。開催予定セミナーやイベントの告知、ブログ運営などを担当しています。

機械翻訳をいかに活用するか(ホワイトペーパー)

本資料は、機械翻訳(MT)導入を比較ご検討の際思い浮かべる疑問を解消し、活用のニーズ、「ポストエディット」「用語集」などのキーワードについても解説いたします。(全62ページ)

資料の構成は以下のようになっております。

第一章   はじめに
第二章   機械翻訳(MT)活用のニーズ
第三章   機械翻訳(MT)と(HT)の違い
第四章   機械翻訳と関連技術
第五章   MT導入時に知っておくべき6つのポイント
最後に

など

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