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Webサイト多言語化はコードを入力するだけで完了?リスクヘッジは?

インバウンドの増加やマーケットのグローバル化を前に、webサイトの多言語化に関心がある企業が多くなっています。webサイト多言語化というと、自社で翻訳スタッフをそろえるか外注での対応になると考えている人も多いでしょう。最近では、すでにある日本語サイトの体裁を変えずに多言語化できる機械翻訳サービスが注目されています。

意味が分かれば十分!?コード入力だけで完了のwebサイト多言語化

最近は、コード入力するだけで翻訳ができてしまうサービスがあります。たとえばMOVN.ioの提供するサービスでは、最短5分で翻訳が可能です。方式によっては、海外SEOの対策も同時にできるので、集客を最大化できるサービスとして利用者が増加しています。

公式サイトによると、これまでに日本の有名企業を含む7000以上の事業者が導入し、導入企業のサイト訪問者数は平均して180%アップしているということです。コストも時間もかけずに多言語化できる、機械翻訳サービスは多くの事業者にとって魅力的に映ることでしょう。


しかし、考えなければいけないのは、翻訳とは単なる言葉の置き換え作業ではなく意思疎通のためのツールだということです。伝えたい内容、ニュアンス、その言語の使用されている文化圏と日本語との発想の違いにまで気を配らなくては、内容を正確に伝えることはできません。中身に重きを置く場合、機械翻訳だけでは不十分な場合があることを覚えておきましょう。

大企業は機械翻訳だけで翻訳を完結できているか?

すでに多くの企業が導入している、GoogleやDeepLなどの機械翻訳を活用したwebサイト多言語化。日本の大企業は機械翻訳だけで翻訳作業を完結させることはしていません。リスクヘッジのために、機械翻訳後の文章に問題がないか、翻訳会社に品質チェックを依頼しています。

特に画像の翻訳は注意が必要な部分です。ローカライズ先の文化でどのような受け止め方をされているかは必ずチェックが入ります。たとえば、親指を上げるサムアップはOKな文化と、侮辱と受け取る文化があります。国旗などの小物がその国に合っているか、配色がローカライズ先の人々に好まれるものになっているかということは、機械翻訳ではチェックできない部分です。

人力での翻訳では、何重ものチェックは当然のこととして行われています。納品後には発注元もチェックをし、言葉の面だけでなく、文化的な面でも適切な翻訳がされているかどうかを見ているのです。翻訳にミスがあり、それが企業イメージを損なうものであった場合は、多大なダメージを負うことになります。大企業はその影響がはかりしれないので、入念なリスクヘッジを行っています。

機械翻訳で注意したい翻訳で考えられるリスクとは

翻訳で最も考えられるリスクとは、翻訳のミスによって顧客に損害が発生した場合に損害賠償を求められることです。たとえばモノを提供するサービスの事業者だった場合で、事業者側が想定していなかった方法で顧客がその商品を使用しケガをしてしまった場合、翻訳内容に落ち度があると認められれば損害賠償請求の対象になってしまいます。

場合によっては、名誉棄損や人格権の侵害として訴えられることもあります。機械翻訳の場合、品質保証や損害賠償に応じてくれるのか不明確な部分が大きいのが実情です。


企業はこのようなリスクを最低限にするために、品質チェックを依頼する前にも入念な準備をしています。翻訳を翻訳会社に丸投げしたら終わりではありません。翻訳対象の言語の文化圏を研究のために何語をターゲットにするのか、そもそも翻訳が必要なのかを検討し、企業独自の固有名詞をまとめた用語集を作成して、信頼できる翻訳会社を選定します。

原稿が上がってきたら、再度仕様どおりのものになっているかをチェックします。Webサイト多言語化に機械翻訳を導入している企業でも、多くの企業では複数の工程を入れてリスクマネジメントを行っているのです。

マンパワーの翻訳は安全か?翻訳会社のリスクヘッジ


人力の翻訳なら完璧、と考えるのは早計です。人が作業するものに完璧なものは存在しません。一般的な翻訳会社では、一定水準の品質を確保するために複数人による翻訳のチェックを行っています。翻訳者とは別にチェック専門の担当を置いて、誤訳や訳漏れがないかをチェックしています。

文法的には正しくても、助詞や前置詞の選択で意味が変わってしまったり、その文化圏特有の価値観に関するものがあったりするので翻訳対象言語のネイティブをチェッカーとして配置している翻訳会社も多いようです。翻訳会社にも損害賠償や訴訟を提起されるリスクはありますので、翻訳会社は自社のとりうるリスクマネジメントを徹底して行っています。

翻訳はグローバル化とローカル化を同時に行う作業

機械翻訳はWebサイト多言語化を考える際、コストや時間を短縮できる魅力的なサービスです。しかし、提供するサービスの内容によっては様々なリスクヘッジを行う必要があり、かえってコストがかさんでしまうこともあります。

グローバル化の進む現代では、均質なサービスを提供するための制度や体制を整えるとともに、それぞれの地域に合った姿勢を貫かなれば売り上げアップは見込めません。翻訳を単なる読み書きの能力だけとしてとらえていると、多言語化には成功しても大きな売り上げにつながることはないでしょう。

翻訳会社に翻訳を依頼する場合は、異文化の価値観を理解し、そこで求められるものを創造していくようなスキルを持った会社かを見極める必要があります。

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川村インターナショナルWebマーケティングチームです。開催予定セミナーやイベントの告知、ブログ運営などを担当しています。

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