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簡体字?繁体字?その中国語、正しいですか?

増え続ける中国語翻訳

「爆買い」という言葉が流行語大賞を受賞してはや二年。

以前に比べると「爆買い」の勢いは落ち着いたようですが、中国からの観光客自体はまだまだ増加傾向にあります。

中国本土だけでなく台湾や香港でも日本旅行の人気は高く、2016年にはこの三地域(中国、台湾、香港)からの観光客が1200万人を突破しました。

これに伴い、東京都をはじめ各自治体により、パンフレットや看板、注意書きなど観光資料の外国語化が進んでいますが、中国語に翻訳する際にはちょっと注意が必要です。

二つの中国語

まず気を付けなければいけないのは、簡体字と繁体字の違いです。

中国語には、大きく分けて中国本土やシンガポールで使用されている「簡体字(=Simplified Chinese)」と、香港やマカオ、台湾で使用されている「繁体字(=Traditional Chinese)」の二種類があります。

Traditionalという名称が示す通り、元々は中国本土でも繁体字が使用されていました。

しかし、繁体字は非常に複雑で習得が難しいことから、1949年中華人民共和国成立の際、国民全体の識字率を向上させるために、「簡略した字体」つまり簡体字の使用が政府から打ち出されたのです。

台湾、香港、マカオで元来の繁体字が使用されているのは、当時の中国政府の行政区分にこれらの地域が含まれていなかったためです。

簡体字と繁体字は全然違う

共通する文字もありますが、簡体字と繁体字ではそれぞれの表記方法が大きく異なります。

一見、同じ文字に見えても微妙に形が違ってたり、文字だけでなく使用する用語や表現が違うこともあるので、対象読者に応じて適切に訳し分ける必要があります。

一般的に、中国本土出身の人は繁体字は読めません。ある程度意味は予測できますが、違和感を感じます。

 

反対に台湾や香港出身の人には簡体字だと意味が取りづらく、むしろ英語の方が認識しやすいこともあるくらいです。

どちらか一つでカバーするのはもちろん、それぞれ簡体字と繁体字の文字を置き換えて使用するのも難しいのです。

地域によっても違う

さらにややこしいのが、方言による違いです。

同じ簡体字、繁体字でも、使用する国や地域によって、用語や表現が大きく異なります。

例えば、台湾と香港ではともに繁体字を使用しますが、同じものを指す場合でも表現方法や用語が異なる場合があります。

その理由の一つとして、話し言葉の違いが挙げられます。

台湾では中国本土と同じ普通語(北京語)が使用されますが、香港とマカオでは広東語が使用されます。

広東語は中国語の数ある方言の一つですが、表現や読み方だけでなく、文法や構文も全く異なります。

そのため、同じ繁体字の自体で書かれていても、台湾と香港では用語や表現が微妙に異なるのです。

台湾繁体字と香港繁体字の違い

台湾向け繁体字と香港向け繁体字でそれぞれ異なる言葉をいくつかあげてみました。

 

 

1997年までイギリス統治領だったせいか、こうやって比べてみると香港繁体字の方が英語の発音に基づいた表記が多いようですね。

 

簡体字と繁体字、北京語と広東語。

メッセージの対象読者に応じて、適切な字体、表現、用語を使い分けるのが、正しい中国語翻訳の第一歩です。

 

次回は、日本語と中国語における表現の違いについて紹介します。

 

 

前田耕二

前田耕二

KI Hong Kong, Limited 取締役。 川村インターナショナル香港現地法人の代表として2012年より香港にて勤務。 中国語および東南アジア言語のローカリゼーション業務に従事。

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