
契約書翻訳をどう依頼する?担当者のための実務チェックリスト
グローバル化が進む中、日系企業も海外企業との取引を増やしています。契約書の翻訳は、単なる言語の置き換えではなく、取引内容を正確に理解し、誤解や法的リスクを避けるための重要な作業です。たとえ内容を理解しているつもりでも、微妙な表現の違いが後々トラブルにつながることも少なくありません。本記事では、契約書の種類や翻訳依頼の方法、機械翻訳の活用法など、実務に役立つポイントを解説します。
目次[非表示]
契約書の種類と特徴
契約書には様々な種類があり、それぞれ翻訳時の注意点も異なります。
代表的なものとしては以下があります。
- 売買契約書(Purchase Agreement):商品の売買条件や納期、価格などを明記。数量や金額の単位表現にも注意が必要です。
- 秘密保持契約(NDA):情報の範囲や保護期間を明確にする契約。訳語によって保護範囲が変わる可能性があります。
- 業務委託契約・ライセンス契約(Service Agreement / Licensing Agreement):業務内容や権利関係を定める契約。条項ごとの意味を正確に伝えることが重要です。
契約書の翻訳では、条項の法的意味を変えないことが最優先です。そのため、単なる直訳ではなく、文脈に応じた適切な表現が求められます。
日系企業が契約書を翻訳する際の言語
日系企業が海外取引において翻訳を依頼する言語としては、まず英語が圧倒的に多いです。そのほか、中国語、韓国語、タイ語、ベトナム語などアジア諸言語、取引先によってはドイツ語やフランス語などの欧州言語もあります。
- 英語:法的表現が直訳では伝わりにくく、文書全体の統一感を保つことが重要。
- 中国語:条項の構造や法律用語の選び方で意味が変わりやすい。
- その他アジア言語:文化的・法的背景の違いに注意が必要。
契約書翻訳では、言語の特性だけでなく、取引相手国の法律や慣習も意識する必要があります。
翻訳依頼の選択肢:翻訳会社 vs 法律事務所
契約書翻訳の依頼先は大きく分けて翻訳会社と法律事務所の2つです。それぞれメリット・デメリットがあります。
翻訳会社に依頼する場合
- コストが比較的低く、納期も短い
- 契約書以外の文書とまとめて依頼可能
- 従来の翻訳のほか、機械翻訳やポストエディットなど、複数の翻訳手法をもつ
- 法的リスクへの対応は限定的
- 細かい条項の法的解釈は難しい
法律事務所に依頼する場合
- 法的正確性が高く、契約リスクのチェックが可能
- 条項調整や海外取引先との交渉にも対応できる
- コストが高い
- 納期が長くなる場合がある
- 大量の契約書には向かない
重要度の高い契約や海外取引先との重要案件は、法律事務所に依頼するのが安心です。一方で、社内確認用や大量の契約書翻訳では翻訳会社への依頼が効率的です。
機械翻訳とポストエディットの活用法
近年では、契約書に特化した機械翻訳の精度が向上しており、専門用語の再現性も高まっています。そのため、契約書のドラフト作成や社内確認に役立ちます。特に社内に機械翻訳を導入すれば、条項ごとの確認作業を効率化でき、翻訳会社や法律事務所に依頼する前段階としても活用可能です。
- 機械翻訳の活用例
- 条項の概要把握や社内レビューの効率化
- 専門用語の統一や履歴管理に有効
- ポストエディット(PE)の活用例
- 翻訳者、作業者が翻訳エラーを修正して精度を高める
- 重要契約や条項変更の多い契約書にも対応可能
※ポストエディットとは、機械翻訳の結果を人手により修正し、適切で自然な翻訳に仕上げる作業を指します。
ただし、機械翻訳だけでは契約条項の微妙なニュアンスや法的リスクまでは完全に反映できません。そのため、最終的な契約書の承認や重要な条項の確認には、必ず専門家によるレビューが必要です。短期的なドラフト確認や大量契約書の処理には非常に有効ですが、リスクの高い契約では限定的に利用するのが安心です。
まとめ
契約書翻訳では、その契約書の用途や重要度を考え、「正確さ」と「コスト・納期」のバランスを考えることが重要です。
翻訳の手法はいくつかあります。
- 契約書の種類や重要度に応じて、翻訳会社と法律事務所を使い分ける
- 社内に機械翻訳を導入ずみであれば機械翻訳を活用し、さらに正確を期したい場合はポストエディットをうまく活用して効率化する
- 条項の意味を必ず確認し、誤解やリスクを回避する
海外取引の契約書は、企業の信用やビジネスに直結する重要な文書です。翻訳の方法や依頼先を慎重に選び、正確かつ効率的に翻訳を進めることが成功の鍵となります。
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