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映像翻訳 字幕と吹き替えの違い

映像翻訳 ~字幕と吹き替えの違い ~

今や映像・動画コンテンツは大変身近なものとなりました。オンラインでの視聴の機会が増えたため、レンタルビデオ店の新着コーナーや映画館のスケジュール表を今では少し恋しく思います。

みなさんは、同じ作品の字幕版と吹き替え版の両方を視聴した経験はありますか?子供の頃に吹き替え版で楽しんだ作品を、大人になって今度は字幕版でもう一度観るといった経験がある方も多いのではないでしょうか。今回は、ある映像作品を例に、その字幕翻訳と吹き替え翻訳を比較したいと思います。 

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目次[非表示]

  1. 1.対象とする映像作品と比較内容について 
  2. 2.映像翻訳の文字数制限 
  3. 3.映像字幕のハコ切り 
  4. 4.まとめ 
  5. 5.参考文献
  6. 6.川村インターナショナルの翻訳サービス

対象とする映像作品と比較内容について 

対象とした作品は、『ストレンジャー・シングス 未知の世界』という、配信登録制のストリーミングサービスであるNetflixで、配信されているシリーズ作品です※。3度のドラマ部門作品賞ノミネート、数十のエミー賞候補歴を持つほど評価されている人気作品です。今回は、本作の「シーズン4-5: 第5章 ニーナ計画」から、一部を引用し、字幕と吹き替えにおける英語から日本語への翻訳の違いを比較しました。 
また、以降に登場する比較表の項目は、2022年11月28日時点に参照した動画をもとに、筆者が記載しました。

※参考 

ストレンジャー・シングス 未知の世界 | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト

Netflixとは?

< 字幕翻訳と吹き替えコンテンツのルール >

基本的なNetflixにおける日本語版制作のルールについては、下記のスタイルガイドを参照しました。 


映像翻訳の文字数制限 

以下の表は、「スティーブ」と「ダスティン」という2名の登場人物による、短い会話のシーンです。仲間とともに、怪しく暗い屋内へ潜入していきます。それぞれが懐中電灯を取り出し、明かりを灯し出します。そんな中、スティーブは懐中電灯を持っていませんでした。このシーンは、その時のスティーブのセリフから始まります。 

このシーンは、友人同士の会話であり、とてもテンポよく進みます。どのセリフも発話秒数は1~2秒ほどと、とても短い時間です。特に、ドラマ作品のため、講演や説明のナレーションなどとは、発話速度が異なります。「1秒につき、4文字」というルールに則り、字幕翻訳では必要なメッセージのみが簡潔に訳出されています。吹き替え翻訳と比べると、半分ほどまで文字数が削減されている箇所もあります。それでも、どちらの翻訳も、視聴者にとって必要な情報が訳出されています。さらに、登場人物に合わせ、言葉の調子に工夫がされていることもわかります。 


映像字幕のハコ切り 

先ほどのシーンに引き続き、暗い屋内を2人組みに分かれて探索することになります。それぞれが別々に進み始める中、スティーブとダスティンの2人が残りました。このシーンは、ダスティンと組むことがわかった時のスティーブのため息が発端で始まります。

​​​​​​​

先の例と比較すると、各行の発話秒数が長く思えます。この表はオリジナルの音声・字幕ガイドを基準としていて、翻訳前には1度に2名分のセリフが表示されている箇所があるためです。日本語への翻訳では、「1度の字幕表示につき、訳出するのは1名分」というルールに沿っています。そのため、実際の字幕翻訳では、スピーカーが交代するタイミングで表示が切り替わります。それが表内のスラッシュ箇所です。映像や音声をもとに、どこまでの原文を1枚の字幕で表示するのか、つまり、このスラッシュの位置を決めることをハコ切りと呼びます。オリジナルの字幕ガイドでは、6回(上記表の6行)で表示されているのに対し、字幕翻訳は、10回(上記表の6行+スラッシュ4箇所)で表示されます。よって、1度の字幕表示に使用できる秒数は決して長いというわけではなく、簡潔さが求められます。そのような字幕翻訳と比較すると、吹き替え翻訳では、より多くの情報量が訳出されていることがわかります。特に、表内の赤字箇所などで、よりオリジナルに即した、具体的な訳出がされています。


まとめ 

本記事では、Netflixで配信されている『ストレンジャー・シングス 未知の世界』「シーズン4-5: 第5章 ニーナ計画」から、一部を引用し、その字幕翻訳と吹き替え翻訳を比較しました。今回取り上げた字幕翻訳の文字数制限やハコ切り、吹き替え翻訳の情報量などは、企業や組織が多く発信しているプロモーションやマーケティングの映像・動画翻訳の制作においても、共通する内容となっております。 今後はぜひ意識して見てみてください。

参考文献

日本映像翻訳アカデミー(桜井徹二、藤田奈緒、新楽直樹)(2018)
『字幕翻訳とは何か 1枚の字幕に込められた技能と理論』[初版]日本映像翻訳アカデミー株式会社


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