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CATツールで使える正規表現 川村インターナショナルの翻訳ブログ

CATツールで使える正規表現・第5回

この連載では、翻訳の現場で役に立つ正規表現を取り上げながら、memoQSDL Trados StudioのようなCATツール※で利用できる正規表現について解説しています。※ CATツールとは、翻訳支援(Computer Assisted Translation)ツールの略称で、翻訳メモリや用語集を使って翻訳業務を効率化するためのツールを指します

前回の記事では、文字クラスを使って、ひらがな1文字やカタカナ1文字にマッチする正規表現を作りました。今回は、引き続き文字クラスを使って、いわゆる全角文字や半角文字を検索してみましょう。

目次[非表示]

  1. 1.そもそも全角・半角とは
  2. 2.半角文字を探せ
  3. 3.これじゃない[^ ]
  4. 4.全角文字を探せ
  5. 5.今回のまとめと次回の予告
  6. 6.川村インターナショナルの翻訳サービス

そもそも全角・半角とは

まず、全角文字や半角文字とは何かという話をしましょう。そのためには、日本語用文字コードの歴史を少し紐解く必要があります。

前回の記事で、コンピューターの内部では2進数が使われていると述べました。2進数の1桁を1ビット(bit)と呼び、8ビットを1バイト(byte)と呼びます。1バイトには2の8乗=256個の数があるので、1文字を1バイトで表すとすると、最大256文字に番号を振ることができます。

現在使用されている文字コードの元祖となっているASCII(American Standard Code for Information Interchange)では、1バイトの半分(7ビット)すなわち128文字分を使用して、20のスペースから7Eのチルダまで、英数字と記号を併せ95文字に番号を振っています。

なお、残りの33文字分(0から1Fおよび7F)には、表示や印刷がされない特殊な文字が割り当てられています。これらは「非表示文字(non-printing character)」または「制御文字(control character)」と呼ばれます。

日本語の1文字を1バイトで表す文字コードもいくつかありますが、その中に、1969年に制定されたJIS X 0201があります。前半128文字分はASCIIとほぼ同じであり、後半128文字分でカタカナと記号が定義されています。

JIS X 0201では漢字もひらがなも使えませんが、それらの文字に番号を振るには、1バイトでは足りません。そこで、1文字を2バイト(2の8×2乗=65,536文字分)で表すことで漢字などを定義したJIS X 0208が1978年に作成されました。

ところがJIS X 0208はASCIIと互換性がないため、JIS X 0201とJIS X 0208を組み合わせたShift JISが1982年に作られました。そして、WindowsやMacの日本語版に、Shift JISをそれぞれ独自に拡張したものが採用されました。

JIS X 0201で定義されている英数字やカタカナがJIS X 0208でも別に定義されているため、Shift JISでは英数字やカタカナが重複しています。それらを区別するため、JIS X 0201で定義された文字を、JIS X 0208で定義された文字の半分の幅で表示することがあります。そこで、前者を「半角文字」、後者を「全角文字」と呼んでいます。

半角文字を探せ

ここで前回の記事を思い出して、半角文字がJIS X 0201で定義された範囲、すなわち半角スペースから「゚」(半角半濁点)の範囲であれば、[ -゚]で半角文字が検索できると考えた方がいるかもしれません。

Shift JISならそれでよいのですが、今では、WindowsでもMacでも、Shift JISではなくUnicodeが一般的に使われています。Unicodeでは、半角英数字はASCIIと同じくU+0020の半角スペースからU+007Eの半角チルダ(~)までですが、半角カタカナはU+FF61の半角句点(。)からU+FF9Fの半角半濁点(゚)までです。

したがって、半角文字を検索しようとして[ -゚]としてしまうと、U+0020からU+FF9Fまで、およそ6万字がマッチしてしまいます。その中には、全角文字も含まれます。

半角文字を検索する正しい正規表現は[ -~。-゚]です。ただし、これを使う機会は少ないかもしれません。むしろ、[ -~]で半角英数字を検索したり、[。-゚]で半角カタカナを検索したりする場合が多いでしょう。なお、記号を含まない半角英数字は、もちろん[0-9A-Za-z]です。


これじゃない[^ ]

次に、全角文字について考えましょう。まずは単純に、半角文字でない文字が全角文字だとします。

「〜でない文字」は、正規表現では文字クラスの否定で表します。文字クラスを否定するには、文字クラスを「[」の替わりに「[^」で始めます。たとえば、[文字]は「文」または「字」にマッチしますが、[^文字]は「文」でも「字」でもない1文字にマッチします。

これを使えば、半角文字でない文字は[^ -~。-゚]で検索できます。Shift JISなら、これで全角文字が検索できます。

しかし、Unicodeではダメです。この正規表現は、確かに全角文字にもマッチしますが、英語でしばしば使われる「“」や「”」などの記号や、欧州言語などで使われるアクセント記号付きアルファベット(「ä」や「ç」など)にもマッチしてしまいます。


全角文字を探せ

では、JIS X 0208で定義された文字を表す文字クラスを作ったらどうでしょう。しかし、それも実用的ではありません。JIS X 0208で定義されていない漢字もありますし、JIS X 0208ではギリシャ文字やキリル文字の一部も定義されています。

全角文字を検索するには、まず、検索したい「全角文字」が何なのかをきっちりと定め、それに応じた正規表現を作る必要があります。

たとえば、半角英数字に対応する全角英数字を検索したいのかもしれません。これは、U+3000の全角スペースとU+FF01の全角感嘆符からU+FF5Eの全角チルダまでなので、 [ !-~]で検索できます。記号を除くなら[0-9A-Za-z]です。

あるいは、検索したい全角文字は「ひらがなとカタカナと漢字」かもしれません。ひらがなとカタカナは前回の記事で取り上げましたが、漢字を正規表現で検索するには、どうすればよいでしょう。これは次回の課題とします。


今回のまとめと次回の予告

今回は、半角文字や全角文字を検索する正規表現を考え、文字クラスの否定を表す「[^ ]」を紹介しました。次回は、今回積み残しとなった漢字を正規表現で検索します。



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