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翻訳をいち早く仕上げる方法

翻訳を注文されるお客様の要望として多いのは次の2つです。

「安く」翻訳を仕上げたい、「早く」翻訳を納品してほしい。

「安く」翻訳を仕上げるコツについては以前掲載の「翻訳を賢く安く仕上げるコツ~対象・ファイル・チェック~」で解説しましたので、今回は「早く」を納品してもらう方法について紹介いたします。(今回の記事では日英翻訳(和文英訳)案件を想定しています。)

目次[非表示]

  1. 1.まずは:翻訳の標準処理量を知る
  2. 2.方法その1:時差を活用する
  3. 3.方法その2:人海戦術を用いる
  4. 4.方法その3:工程を省く
  5. 5.方法その4:最先端テクノロジーを活用する
  6. 6.おわりに
  7. 7.KIのサービス

まずは:翻訳の標準処理量を知る

本題に入る前に、翻訳の標準的なワークロード(処理量)をご存じでしょうか?

翻訳会社で提供される一般的な翻訳サービスは「翻訳」+「バイリンガルチェック」の工程で構成されており、日英(和文英訳)の「翻訳」工程の標準処理量は1日(8時間)で平均3,000~3,500文字と言われています。
この数値はあくまでも標準で、分野/翻訳者によって異なります。例えば、固有名詞の多い観光関連のパンフレットなどは、調査に時間がかかってしまうため、1日で2,000文字ほどしか翻訳できないこともあります。

次に誤訳・訳抜けがないか、固有名詞が適切に翻訳されているか等を確認する「バイリンガルチェック」工程を行いますが、バイリンガルチェックの処理量は1時間当たり800~900文字程度とされています。

ですから例えば3,000文字の日→英翻訳(レイアウトなし)の場合は、一般的に下記の流れとなります。​​​​​​​

1日目:翻訳
2日目:チェック
3日目:最終確認・納品

標準的な工程として、納品までに計3日間(発注日を除く)をいただいています。

では、もっと早く翻訳がほしい場合には、この標準的な工程をどのように短縮すればよいでしょうか。4つのポイントに絞って解説します。


方法その1:時差を活用する

日英翻訳案件の場合、翻訳者やバイリンガルチェッカーが海外在住のことがよくあります。
通常は発注日の翌営業日を翻訳の作業発生日としてカウントしますが、翻訳をイギリスやアメリカなど、日本よりマイナスの時差の国を拠点とする翻訳者に依頼すると、3,000文字以下の案件では発注日の夕方の依頼で翌営業日の朝には翻訳が完成しているという状況にすることが可能です。
これにより、発注日の翌日にはバイリンガルチェック作業を始めることができます。この方法を使えば約1日分納期を短縮することが可能です。
しかし、これはスムーズに案件が進行した場合です。時差を活用するためには時によって、割り当てる翻訳者を探す時間や、翻訳対象のファイルをすぐに翻訳できる形に編集する時間ドキュメントエンジニアリング)に充てるため、「当日15時までの発注に限る」など、発注期限が設けられることがあります。
また、海外在住の翻訳者がすでに埋まってしまっている場合や、クリスマスやイースターなど、海外の休暇と被ってしまった場合などは、残念ながらこの方法を使うことができません。

どうしても急ぎの案件がある場合は、事前に翻訳会社に相談してみてください。翻訳者のスケジュールを確保するなどの対応で、できるだけご要望にお応えできるはずです。


方法その2:人海戦術を用いる

また、お急ぎの場合には、対象の文書を分割して複数の翻訳者に翻訳を依頼し、納期を短縮することも可能です。
例えば15,000文字の翻訳を2人の翻訳者に分けて依頼すれば、翻訳にかかる時間は半分になりますので、納期を2日ほど短縮できます。しかし、異なる翻訳者が訳しているので、文書内で揺れが発生します。チェックの工程で用語やスタイルの揺れの統一は行いますが、言い回しやニュアンスの違いはどうしても残ってしまいます。複数の翻訳者に割り当てる場合は、この点を了承していただいた上で翻訳を進めていくことになります。


方法その3:工程を省く

前述のとおり、翻訳会社で提供する一般的なサービスグレードは、「翻訳」+「バイリンガルチェック」の通常翻訳となりますが、「翻訳」のみのドラフト翻訳も提供しています。

ドラフト翻訳では、通常の翻訳で専門のバイリンガルチェッカーが行う「バイリンガルチェック」が省かれ、翻訳者による「セルフチェック」のみとなり、工程が1つ減ります

バイリンガルチェッカーによるチェック作業がなくなりますので、その分通常翻訳より品質は落ちますが、社内会議で用いる資料など、外部に出ることのない書類や正式な書類でない場合はドラフト翻訳で問題ない、と判断されるお客様もいらっしゃいます。

ドラフト翻訳では工程が1つ省かれるため、例えば3,000文字の案件だと約1日の納期短縮が可能です。さらに3,000文字の案件を「①時差を活用する」と「③工程を省く」の両方の方法を使って納期短縮をした場合は、なんと最短で発注日の翌営業日午前中には納品物を受け取ることも可能になります。
工程を省くと必然的に値段も安くなりますので、文書の使い向きによっては最適と言えるかもしれません。


方法その4:最先端テクノロジーを活用する

また、納期を短縮する手立てとして、テクノロジーを駆使した「機械翻訳+ポストエディット」(MT+PE)サービスを利用するというのはいかがでしょうか。

MT+PEサービスでは、対象のドキュメントをまず機械翻訳にかけ、生成された訳文に専門の作業者が編集を加え、訳文として仕上げます。
以前は機械翻訳の出力結果の品質が良くなかったため、ポストエディットをするくらいなら一から翻訳したほうが早いという場合も多く、あまり一般的な作業ではありませんでした。しかし、機械翻訳の精度向上により、作業者への負担が軽減され、現在では翻訳サービスの一つとして需要が伸びつつあります。

MT+PEの場合は一般的に通常の人手翻訳より高い処理量を出すことができるため、納期が短縮されることが多いです。また、ポストエディットの単価は通常の翻訳単価より安いことが多いため、コストを抑えることもできます。

しかし、MT+PEには向き不向きがあり、文書のタイプによっては機械翻訳の訳文が全く使えず、一から翻訳を行わなければいけない、というケースが発生してしまう可能性もあります。機械翻訳の品質はドキュメントタイプにより左右されるので、処理量や単価が案件によって変わってしまうこともあります。

また、一般的にMT+PEの品質は、通常の人手翻訳より品質が劣ってしまうので、高い品質を求めないようなシーンでご利用いただくのがおすすめされます。

MT+PEサービスの使い時は、「ポストエディットと人手翻訳の違い~賢い使い分け~」にまとめてありますので、気になる方はぜひご一読ください。


おわりに

今回の記事では、日英翻訳の納期を短縮できる4つの方法をご紹介しました。

  • その1:時差を活用する
  • その2:人海戦術を用いる
  • その3:工程を省く
  • その4:最先端テクノロジーを活用する

紹介した方法の中には、翻訳する資料・文章の用途によって向いているもの、避けた方がよいものがあります。依頼の前に各方法のメリットデメリットを検討して翻訳会社の担当者に相談し、翻訳方法を決定することが、満足できる成果物を得られるカギといえるでしょう。

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