
イギリスを構成する1つの国 ー ウェールズとその言語について
ウェールズはイギリス(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)を構成する国の1つです。多くの人にとってあまり馴染みのない場所かもしれませんが、スタジオジブリの映画「天空の城ラピュタ」の舞台について、「大いに参考にした場所」であると公表されています。世界遺産となっている歴史的な古城など、多くの印象的な建造物が残っていて、魅力的な観光地の1つとして有名です。
またウェールズでは、英語と並んでウェールズ語が公用語となっています。
そこで本ブログではイギリスを構成する国の1つであるウェールズで使われながらも、英語とは全く異なる、ウェールズ語の特徴とその豆知識をご紹介します。
目次[非表示]
- 1.ウェールズについて
- 2.言語の概要
- 3.言語の特徴
- 4.ウェールズに関する豆知識
- 5.まとめ
- 6.参考
- 7. 川村インターナショナルのサービス
ウェールズについて
ウェールズはグレートブリテン島の西側に位置しています。
北はアイルランド海、南はブリストル海峡に面しており、緑豊かな自然が広がっていて、フットパスと呼ばれる遊歩道が多く、様々な景色を楽しむことができます。
歴史的な炭鉱や採石にまつわる国立博物館や、600を超える古城があり、あちこちでのその歴史を感じることができます。
※ウェールズの国旗
言語の概要
ウェールズ語はケルト語派の一種でブリソニック語群に属し、ブレトン語やコーンウォール語と近縁関係にあります。現在、約50万人以上話者数がいますが、その多くは英語とバイリンガルです。その影響もあり、一時期はウェールズ語の話者数が減少していましたが、ウェールズ自治政府のメディアや教育制度における取り組みもあり、近年は話者数が増加傾向にあります。
テレビ放送局であるS4Cやラジオ番組BBC Radio Cymru※というではウェールズ語が流れていますし、ウェールズのすべての学校ではウェールズ語の授業が必修となっています。
※Cymru(読み方:カリム)とはウェールズ語で同胞・仲間の意味でありウェールズやウェールズ人のことを指します。ウェールズという呼び方は、ウェールズを侵略したアングロ・サクソン人の言葉の「異邦人」が由来となっています。
言語の特徴
イギリスを構成する国の1つであるものの、ウェールズ語の文法や単語は英語とはかなり異なります。例えば文法では、動詞が主語の前に来るVSO型(動詞-主語-目的語)の語順を持つことが一般的です。
例) 日本語:私は映画を見た 英語: I saw a movie. ウェールズ語: Gwelais i ffilm. |
単語を紹介すると、Gwelais(動詞:「見る」の過去形)、i(主語:「私」)、ffilm (目的語:「映画」)となります。日本語とも、英語とも異なるため見慣れないとかなり難しい印象があります。単語のffilmに関しては英語のfilmにかなり似ていますが、" Rwy'n briod"(私は結婚している。)、"Mae hi'n darllen llyfr."(彼女は本を読んでいる。)というように、英単語の知識からなんとなく意味を予測することは、ほとんどのケースでは不可能です。
またウェールズ語は基本的に29種類のラテン文字を使用し、独自の文字の組み合わせや発音がいくつかあります。例えば、kやzなどは、専門用語や海外由来の言葉を表す時に使用されますが、ウェールズ語では下記の様に置き換えられたりします。
kilogram、zero → cilogram、sero |
ウェールズに関する豆知識
「Llanfairpwllgwyngyllgogerychwyrndrobwllllantysiliogogogoch」は実は1つの単語です。世界で最も長い地名の1つとして知られるウェールズに実在する町の名前であり、読み方は「スランヴァイルプールグウィンギルゴゲリッヒルンドロブールスランティシリオゴゴゴッホ」だそうです。
これは「急流な渦巻の近くの白ハシバミの森の池にある聖マリア教会と赤い洞窟の聖ティシリオ教会」という意味です。
さらにウェールズの国旗に関する知識として、有名な話ですがイギリスの国旗であるユニオンジャックは、イギリス(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)を構成する国の旗のデザインが組み合わさってできています(下の図)。
しかしその中にウェールズ国旗の要素が含まれていないことに疑問を持った人もいるのではないでしょうか。今の見慣れたユニオンジャックのデザインにウェールズ国旗の要素を取り入れることは想像しがたいですが、実際の理由は歴史的な背景に基づきます。
イングランドとスコットランドが統合されて、最初のユニオンジャックが誕生したのが1600年代ですが、ウェールズはその300年以上前からイングランドに帰属していました。その後、北アイルランドも併合し、現在のユニオンジャックとなっていますが、かなり前からイングランドの一部とみなされていたウェールズの要素はありません。赤い竜が印象的なウェールズの現在の国旗自体も、そもそも20世紀になってから制定されています。
まとめ
今回はウェールズとその言語について紹介しました。ウェールズ語は、日本語とも英語ともかなり異なり馴染みがなく難しい印象を受けたかもしれません。
しかしその独特な言語や、歴史的な建造物や雄大な自然などを調べていくと、「一度は訪れてみたいな」という気持ちにさせられる魅力的な国だと思います。
参考
・イギリスは4つの国から成るって知ってた?それぞれの特徴は?今さら聞けないイギリスの基本 - ENGLISH JOURNAL
・ウェールズ紹介 | Wales
・ウェールズ語 - Wikipedia
・ウェールズ語の正書法 - Wikipedia
・なぜユニオンジャックにはウェールズの国旗がないのか | 歴くまブログ
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