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翻訳を効率的に行う秘訣~memoQ 応用編~

今や翻訳作業に欠かせない存在となったCATツール(翻訳支援ツール)。開発企業の技術の結晶であるCATツールには、業務の効率化をもたらしてくれる様々な機能がたくさん備わっています。

しかし、CATツールを使い始めると、その機能の多さに驚き、しばらくは基本的な機能を使いこなすことだけで精一杯になってしまうことが多くあります。高額なお金を投じたにも関わらず、CATツールの便利機能を使わずにいるのはとてももったいないです!

本記事では、CATツールの中でもその機能の多さを強みにシェアを伸ばしつつある「memoQ」について、知っていると少し得をするPM(プロジェクトマネージャー)向けの小技を4個紹介します。

memoQを所持していない方も、memoQでできること紹介、memoQの機能紹介としてぜひご参照ください。(memoQ最新版とは見た目が異なる可能性があります。ご了承ください。)

目次[非表示]

  1. 1.memoQとは?
  2. 2.意外と知らないmemoQの小技
  3. 3.小技①TM(翻訳メモリ)差分の表示設定
  4. 4.小技②ツールバーの表示設定
  5. 5.小技③キーボードショートカットの設定
  6. 6.小技④便利なQA設定
    1. 6.1.ケース1  好まれない訳語がある場合
    2. 6.2.ケース2  訳抜けが多いワードをチェックしたい場合
    3. 6.3.ケース3  よくあるタイポやスタイルエラーを確認したい場合
  7. 7.川村インターナショナルのサービス

memoQとは?


memoQ公式ホームページより)

memoQはCAT(Computer-assisted translation:コンピューター支援翻訳)ツールの一つで、翻訳メモリや用語集を活用することで翻訳作業を効率化できます。

他の翻訳支援ツールと比較すると、memoQには以下のような特徴があります。

  • 様々なファイル形式に対応しており、ファイルインポートの際の設定が豊富
  • tradosなど他のCATツールとも互換性がある
  • UIがわかりやすい
  • 正規表現を使ったタグ化ツールやQAなど、カスタイマイズできる要素が強い
  • クラウド版では、クラウドベースの利点を生かしたプロジェクト進行ができる  etc.

非常にフレキシブルで、初心者から上級者までレベルを問わず使いやすいCATツールであることが特徴に表れています。memoQの概要については、こちらの記事でも取り上げているので、興味がある方はぜひご一読ください


意外と知らないmemoQの小技

memoQの豊富な機能を全て把握し、使いこなすには相当な時間が掛かると思いますが、今回は数ある機能の中でも、知っていると少しだけ得をするような、小技をご紹介します。

  1. TM(翻訳メモリ)差分の表示設定
  2. ツールバーの表示設定
  3. キーボードショートカットの設定
  4. 便利なQA(品質保証)設定

基本的な機能ばかりですが、意外と使っていなかったり、知らなかったりするものもあるのではないでしょうか。それでは、一つひとつ順に解説していきます。


小技①TM(翻訳メモリ)差分の表示設定

CATツールを使う際には、翻訳メモリを一番参照すると言っても過言ではありません。それだけ使うからこそ、また、過去の翻訳に可能な限り合わせて品質を維持するためにも、翻訳メモリの参照のしやすさは重要になってきます。

memoQの翻訳エディタの場合、デフォルトでは、検索結果ペイン上でTMマッチが下の図のように一色で表示されます。

赤く取り消し線が引かれている箇所が旧版の原文で、下線付きで書かれている箇所が新規の差分翻訳箇所となります。差分が大きくなると、挿入箇所や削除箇所が沢山出てくるため、ごちゃごちゃして、見にくいと感じたことがあるかもしれません。

memoQでは、このような見にくさを解消するために、表示色を分ける機能が備わっています。この設定をすると、下の図のように色分けを行い、差分箇所の読みにくさを改善することができます。

設定方法は以下のとおりです

  1. エディタ画面の右上にある、[翻訳結果]ペインで右クリック
  2. [表示のカスタマイズ]をクリックし、[変更履歴]タブを開く
  3. [変更履歴ビュー]の[Insertion]と[Deletion]をお好みの色に設定

他にも、[表示のカスタマイズ]ウィンドウでは、エディタの様々な部分の色やフォントなど、設定をカスタマイズできます。

以前受講した翻訳チェックに関するセミナーで「参照照合(認知が必要)ではなく、色付けなどを活用し知覚で判断できる単純照合のチェック項目を増やすことで、チェックの負担を軽減し検出力のアップを図る」ということが推奨されていました。

うまく色分けを利用したり、自分が一番読みやすいと思うフォントを設定したりすることが、意外と効率アップにつながるのではないでしょうか。


小技②ツールバーの表示設定

Microsoft Wordと同じように、memoQでもエディタ上のリボンツールバーの表示をカスタマイズすることができます。この機能を活用して、普段よく使用する機能をリボンに表示させてしまえば、効率アップに繋がります。

例えば、memoQを立ち上げたときに表示されるプロジェクト一覧画面。閉じてしまった後に、オンラインプロジェクトやエディタ上などから開けるようにしておきたい、と思ったことはありませんか?クイックアクセスツールバーにボタンを追加してしまえば、簡単に開くことができます。

方法は以下のとおりです。

  1. 翻訳エディタの[表示]から、[リボンのカスタマイズ]をクリック
  2. 右側の[コマンドを選択…]ドロップダウンから、[すべてのリボン]タブを選択
  3. [プロジェクト] [プロジェクトを管理] から[プロジェクトの管理]を選択
  4. 左側で、[クイックアクセスツールバー]をクリックして選択
  5. [追加]をクリックし、[OK]を押して画面を閉じる

リボンのカスタマイズ編集ウィンドウでお好みの表示を選ぶことができます。ぜひ使いやすい表示設定を行い、効率アップにつなげてみてください。


小技③キーボードショートカットの設定

memoQ既定のショートカットキーが使いづらかったり、覚えにくいと感じたら、好みの設定に変更してしまうことをお勧めします。例えば訳語検索のショートカットは、既定ではCtrl+Kとなっています。もう少しキーが近かったら・・と思っていたので、以下の手順で変更しました。

  1. 画面右上のオプション(歯車マーク)ボタンから、[ショートカットキー]をクリック
  2. [既定]という名前の設定をクリックして選択し、ウィンドウ右下の[クローン]をクリック
  3. 好みの名前を設定し、[OK]をクリック
  4. クローンした設定にチェック
  5. クローンした設定が選択されている状態で、[編集]をクリック
  6. ありとあらゆる機能や動作のショートカットが設定できるウィンドウが表示される
  7. 訳語検索のショートカットを設定する場合、[セグメントエディタ]を展開し、[訳語検索..]までいき、右側の鉛筆マークをクリック
  8. 入力フィールドに任意のショートカット(既にほかのコマンドに割り当てられていないもの)を入力。(押しやすいキーがよかったので、私はAlt+Zに設定しました)
  9. 緑のプラスマークをクリックし、OKでウィンドウを閉じる

以上で、ショートカットキーの設定が完了です。他にもよく使う機能がある場合、同じ手順でショートカットキーの設定ができます。自分好みのショートカットキーを設定し、効率アップを実現しましょう!

小技④便利なQA設定

CATツールで最もよく使う機能の一つに「QA機能」があります。

QAとは品質保証(Quality Assurance)の略語で、翻訳業界では、訳文にエラーがない状態である、お客様の翻訳品種を満たしている、など、翻訳の品質に問題がないことを保証するプロセスのことを指します。

QAは目視によるセルフチェックでも行えますが、目視にも限界があります。できるだけチェックを自動化してしまい、ボタン一つを押すだけでエラーを検出することができる。この夢のようなチェックを行ってくれるのが、QA機能です。

CATツールにはほとんどの場合QA機能が備わっています。その中でもmemoQには、初心者でも簡単に正規表現を使って設定できる、QAの機能が搭載されています。

QA設定を作っておくと以下のような項目を機械的にチェックできるようになります。

  • スタイル
  • よくある誤訳・訳抜け
  • 禁止表現・文字の使用

memoQには7種類の正規表現チェックがありますが、今回はその中から3つ、利便性の高い設定ピックアップしご紹介します。

まず、以下の手順で正規表現チェックの設定画面を表示します。

  1. プロジェクトホームから、[設定]、[QA設定]をクリック
  2. [新規作成/使用] をクリックして、QAオプションの名前と説明を入力し、[OK]をクリック
  3. 新しく作成したQAが一覧に表示されるので、選択し[編集]をクリック。[QA設定の編集]画面で[正規表現]タブを選択
  4. [次の場合警告]ドロップダウンから使用したい設定を選択

これで設定の準備が整いました。それでは、ケース別にチェック項目を設定していきましょう。

ケース1  好まれない訳語がある場合

使用する設定:「ソースに対して使用できない正規表現の一致がターゲットにあります」

この設定では、ソースセグメントの正規表現のパターンとターゲットセグメントのパターンに一致する表現がある場合、警告を表示します。例えば、「アメリカ」の訳出として「U.S.」以外が好まれる場合、以下のように設定します。

ソース正規表現:アメリカ

ターゲット正規表現:U.S.

そうすると、ソースセグメントに「アメリカ」という単語があり、ターゲットセグメントに「U.S.」とある場合のみ、警告が表示されます。禁止用語集にU.S.と入れることもできますが、そうするとU.S.を含む頭文字語の場合などでも警告が表示されてしまいます。その点、上記の設定を使用するとさらにチェック対象を絞り込むことができます。


ケース2  訳抜けが多いワードをチェックしたい場合

使用する設定:「表現の一致がターゲットにありません」

この設定では、ソースセグメントの正規表現のパターンとターゲットセグメントのパターンに一致がない場合、警告が表示されます。例えば、訳抜けが多い「ことし」というワードが訳出されているか確認したい場合、以下のように入力すると、ターゲット正規表現にある表現のどれかが訳文に含まれているか、自動的にチェックすることができます。

ソース正規表現:ことし

ターゲット正規表現:this year|current year|present year


ケース3  よくあるタイポやスタイルエラーを確認したい場合

使用する設定:「使用できない正規表現の一致がターゲットにあります」

この設定ではターゲットセグメントで正規表現のパターンにマッチする表現がある場合に、警告が表示されます。例えば、文頭のスペースやライティングスタイルへの準拠、半角カタカナの使用をチェックしたい場合。

文頭に余分なスペースが入っていないかチェック

ターゲット正規表現:^\s

スタイル(句読点はクオテーションマークの中に収めるというスタイル)

ターゲット正規表現:"\.|'\.|",|',|”\.|’\.|”,|’,

禁止されている全角文字(ひらがな、カタカナ、漢字、記号、スペース、数字)と半角カタカナの使用がないかチェック

ターゲット正規表現:[^\x01-\x7E]

正規表現を設定し、エディタでQAボタンを押すと、ターゲット正規表現にマッチしたパターンが訳文に含まれている場合、以下のように全ての項目が検出され警告が表示されます。

このように日々のチェック業務で気付いたことを少しずつ設定に組み込んでいくと、結果的にチェックの効率アップを図れます。

今回ご紹介した小技のひとつひとつは、劇的に業務を改善するようなものではありませんが、組み合わせていくことで、効率アップや業務改善が望めると思います。ぜひ試してみてください


川村インターナショナルのサービス

自社で翻訳案件を管理するために、memoQなどのCATツールを導入することをは非常に有用ですが、初期投資がかかるため、躊躇される方も多いと思います。

中には、自社で翻訳をするのに、機械翻訳を活用したり、用語集やTM機能を使用したいが、プロジェクトマネジメントの機能までは必要ない、と思われている方もいるかもしれません。

川村インターナショナルの提供する「Translation Designer」は、TMの機能や用語集参照の機能を備えつつ、機械翻訳にも対応する翻訳プラットフォームです。

高価なCATツールに手を出すまでではないが、翻訳の効率改善を実現したい、とお考えの方は、ぜひTranslation Designer製品案内をご一読ください。


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KIマーケティングチーム

KIマーケティングチーム

川村インターナショナルWebマーケティングチームです。開催予定セミナーやイベントの告知、ブログ運営などを担当しています。

機械翻訳をいかに活用するか(ホワイトペーパー)

本資料は、機械翻訳(MT)導入を比較ご検討の際思い浮かべる疑問を解消し、活用のニーズ、「ポストエディット」「用語集」などのキーワードについても解説いたします。(全62ページ)

資料の構成は以下のようになっております。

第一章   はじめに
第二章   機械翻訳(MT)活用のニーズ
第三章   機械翻訳(MT)と(HT)の違い
第四章   機械翻訳と関連技術
第五章   MT導入時に知っておくべき6つのポイント
最後に

など

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