2020年電子帳簿保存法改正とwithコロナ
財務省は2020年度の「税制改正大綱」において、再び電子帳簿保存法の緩和改正を盛り込む方針を発表しています。企業の税務手続きをさらに簡略化するために、ペーパーレス化(電子化)を推進する意向であることが明らかになっています。
しかし新型コロナウイルス感染拡大によりテレワークが推奨される中、経理業務におけるハンコを押す、紙の書類を処理するために、出社をせざるを得ない人たちがたくさんいることが問題視されました。
(参照:「日本の経理をもっと自由に」COVID19の流行を機に、従来の習慣にしばられた経理の人々の働き方改善を求める動きが広がっています)
withコロナの時代における、今回の電子帳簿保存法改正どのような変化をもたらすのでしょうか。
冒頭で紹介した「税制改正大綱」でペーパーレス化、つまりは電子化が推進されているのですが、それと大きく関係している法律が「電子帳簿保存法」です。1998年7月に制定されたこの法律では、国税関係帳簿書類の全部または一部の電子データでの保存が認められました。
そして電子帳簿保存法は時代の流れに合わせ、要件緩和が行われています。
2005年 | 紙媒体の書類をスキャンした電子データの保存が認められる。 |
2016年 |
電子データは契約書、領収書の金額が3万円未満のものに限定されていたが、金額基準が 撤廃される。 |
2018年 |
スマートフォンの普及や内蔵カメラの性能向上に伴い、スマートフォンによる撮影データ の保存も認められる。 |
従来までの紙での帳簿や書類の保存を、電子データに切り替えることで業務の効率化・簡易化が期待できます。
紙での文書保存には、紙代やインク代などの経費がかかるうえに、重要書類のファイリングには手間と人件費がかかります。また、コストには該当しませんが、保存のためのスペース確保が必須です。紙保存をやめることで、オフィスの空間利用においてもプラスの効果が期待できます。より経費をかけずにスマートでバックオフィス業務をこなすことができます。
どんなに紙の書類や帳簿が体系的に整理整頓されていても、必要なデータを探すには時間と手間がかかります。一方で電子化が進めば、すべてネットワーク内で情報の検索によって該当データを探し当てることができます。また、電子データのやり取りであれば一瞬であり、書類を郵送でやりとりする時間の削減にもつながります。
紙の帳簿や書類は、たとえば焼失してしまった場合などはデータを復元することはできません。一方で電子データであれば、バックアップも可能であり、喪失するリスクも軽減できます。紙での保存に比べてセキュリティレベルを引き上げることにつながるうえ、不測の事態の際も復元しやすくなるなど、保存における安全性や効率性も高まります。
企業全体の効率化を期待できるシステム導入の検討をしてみてはいかがでしょうか。
契約書、領収書の金額が3万円未満の場合は、現状でも電子データのみでの保存が可能でしたが、条件があまり浸透しておらず、ペーパーレス化が進行していない一面がありました。電子データでの保存にシフトしたくても、その条件があったため踏み込めずにいた企業も少なくないでしょう。また、ペーパーレス化を図りながらも、念のために紙でも契約書、領収書を残しているケースが大半でした。
しかし、2020年の改正によって中小企業でも、労務管理システム上で請求書のペーパーレス化をする動きが促進されることが考えられます。なぜなら電子的に請求書を受領し、そのまま保存することを促進する新たな法案が検討されているからです。具体的な方法はまだリリースされていませんが、より透明性のある方法によって電子化がより加速するでしょう。
主にバックオフィス業務(労務・法務・人事・総務・庶務・経理など)の業務効率化に目が行きがちですが、バックオフィス業務に関わらず、日々の申請業務や請求書の発行などは誰にでも関係のある内容ではないでしょうか。
川村インターナショナルでもこの春、経理システムや勤怠システムのクラウド化が行われました。
また一部お客様へご理解いただいたうえで、請求書のPDF化を推進しています。これによって迅速な請求作業、ペーパーレス化、郵送費のコストカットを実現しています。
今後withコロナの時代に業務を継続をしていくためにも、様々な改革が必要となりそうです。