ポストエディット活用のコツ

~ターゲット品質とは?~

ポストエディット」とは、機械翻訳の出力結果を人の手によって修正して仕上げるサービスです。低価格で短納期を実現できる効率性の高さが特長です。

しかし、「安かろう、悪かろうではないのか」、「本当に人手翻訳よりも効率的なのか」といった疑問を持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか。本記事では、ポストエディットの利点と魅力、そして、有効に活用するための検討のコツをご紹介します。ポストエディットについての詳細は、関連記事もご参照ください。

機械翻訳画像

ターゲット品質の策定

ポストエディットとは、機械翻訳の出力結果を、人手により修正していく作業のことです。適切な修正を行うためには、ターゲット品質(お客様の求める品質レベル)の明確化が重要です。

弊社では、お客様の求めるターゲット品質に合わせて、修正内容を決定します。具体的には、数字や訳抜けの修正前後の繋がり文脈に合わせた修正用語の確認などです。

現在の機械翻訳には、得意不得意な文書があります。ポストエディットを行う場合には、その特徴をうまく活用することが必要です。他にも、納期やファイル形式など様々な仕様を満たすことで、翻訳成果物の要求品質が満たされます。

ターゲット品質を検討するコツ

一つの方法として、ターゲット品質の策定は、機械翻訳の傾向と必要な品質を照らし合わせて行うとよいでしょう。これは、一から翻訳する人手翻訳との違いでもあります。ポストエディットは、あくまでも機械翻訳の出力結果に合わせて、人であるポストエディターが修正を行うことです。

例えば、以下の表のように、機械翻訳の得意・不得意に合わせて必要な作業を考えます。そうすると、どこまでの「正確さ(Accuracy)」、「流暢さ(Fluency)」(理解しやすさ:Clarity文体:Styleを含む)が必須事項であるのかがわかりやすくなります。そうすることで、求める品質を具体的に想定できます。

現在の機械翻訳が得意なこと

得意なこと 向いている文書 客様へのメリット ポストエディット作業へのメリット

・分量が多い翻訳

・素早い翻訳

・大分量
・短納期

・低コスト

・短納期

・作業時に既に全文が訳文言語に変換されており、

一から翻訳する必要がない

・修正作業が絞られている

現在の機械翻訳が苦手なこと

苦手なこと ポストエディット作業例 特に向いている文書
正確さを補う +流暢さを補う

適切な固有名詞の訳出

・用語集の運用

・用語の検索

 

人名や企業名が多く含まれる文書など

専門用語の訳出

 

業界文書やマニュアル文書など

正確な数字の訳出

数字チェック

 

会計情報などのデータを含む文書など

代名詞の選択

代名詞チェック

 

社外向けの文書など

前後の文脈の考慮

 

全体の査読と修正

 

一文が長い文章の訳出

 

・予め原文を編集する
(プリエディット)

・全体の査読と修正

 

適切な表現

 

・QAチェック

・全体の査読と修正

 

訳抜け

   

上記は実際に行われている作業の一例であり、実作業では、お客様のご希望や目的に適した様々な作業を組み合わせて実施します。具体的なエラーとそれを補う作業を見比べて考えると、必要な作業を厳選して取り入れることができます。ご相談いただくことで、現行の作業だけはなく、新しい作業を取り入れることもできます。

さらなる効率化のために必要なこと

機械翻訳を活用し、必要な品質をより効率的に確保するためには、お客様やポストエディター様との協働が不可欠です。ポストエディット作業について調べてみると、「一からの翻訳より労力がかかりそう」、「機械翻訳エラーが残るのでは」といったご意見も見受けられます。弊社では、お客様のご要望をもとに、最適なワークフローを構築します。最大限に機械翻訳を活用するために、実際に作業をしていただくポストエディター様のご意見を参考にすることもあります。

機械翻訳とポストエディットを活用することで、以下のようなメリットが生まれます。

お客様にとって:機械翻訳出力結果の校閲サービスを低コスト・短納期で入手できる

機械翻訳単体の使用、プロのポストエディターによるサービスを、必要最低限の品質で低コスト・短納期で取得できます。

 

ポストエディター様にとって:新たなスキルが身につけられる

案件によって異なる品質の定義を理解する力・リサーチ力・瞬間的な判断力などが必要となり、さらなるスキルアップにつながります。機械翻訳の出力結果を使いこなしていく中で、訳文言語への向き合い方にも変化が起こるかもしれません。訳文言語に新たな発見を得られ、表現の幅を広げる機会にもなります。

 

我々全員にとって:数多ある未翻訳物が、もっと翻訳されるようになる

インターネットの発展で世界中のより多くの情報に触れられるようになりました。翻訳によって、外国語の情報も理解できるようになります。日本語で書かれたものを世界で共有できるようになります。

 

機械翻訳とポストエディットを活用すれば、必要な品質を保持したまま、より多くの翻訳を行うことが可能になります。翻訳によって「情報」を届けて豊かさを生み出し、言語の壁によって「わからない」と取り残される人のいない世界を作っていくことができます。これは、非常に素敵なことではないでしょうか。

まとめ

機械翻訳×ポストエディットについては、知られていない点も多く、様々な考え方が存在しています。発展段階において、ネガティブな印象をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。しかし、この記事を通して、ポストエディットの利点や魅力について知っていただき、ポジティブな印象をお持ちいただけましたら幸いです。よりよい翻訳物を作成していくために、みなさまのご意見やご不明な点をしっかりとお伺いできればと考えております。お気軽にお問い合わせください。


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