翻訳会社についての豆知識
~よくある質問①~
翻訳会社についての豆知識
~よくある質問①~
翻訳会社に翻訳を依頼したいのだけど、翻訳会社って実際にどんな作業をしていのだろう?
翻訳会社に翻訳を依頼しているけど、よく考えたらその翻訳はだれが作業したものなのだろう?
翻訳の依頼を検討している人も、すでに依頼している人も必見!このような疑問を解消するために、翻訳会社に寄せられるよくある質問をまとめてみました。
今回の記事で回答する質問は以下の3点です。気になる方はぜひご一読ください!
回答:
案件の大部分をフリーランス翻訳者に依頼していますが、一部は社内翻訳者が対応しています。 |
基本的に翻訳会社では、自社と契約しているフリーランスの翻訳者に翻訳を依頼しており、社内では主に案件の管理をしています。
PM(プロジェクトマネージャー)と呼ばれる案件担当者が翻訳案件の分野等を確認し、最適な作業者に依頼します。そして、会社側で決めた作業フローにしたがって案件を進ます。翻訳会社によっては、ISO17100認証(翻訳サービスの国際規格)を取得していますので、この規格に準拠したフローに沿って案件を進めます。
フリーランスの翻訳者は翻訳会社の実施するトライアルを受け、対象の分野に関する専門的な知識や十分な翻訳の技術を保有していることが認められた場合のみに契約を結んでいます。
また、翻訳会社と登録翻訳者は、機密保持条項を含んだ基本契約書を締結しており、さらに翻訳会社によっては、厳しいセキュリティ要件が満たされていることを証明するISO27001認証(情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格)を取得していますので、安心して翻訳会社に依頼していただければと思います。
しかし、翻訳会社内で翻訳作業を全く行っていないというわけではありません。お客様のご要望によっては、急ぎの翻訳がデイリーベースで発生し、さらに即日で納品しなければならないケースもあります。そのようなケースでは、社内に翻訳者を常駐させて、案件発生時に即座に対応できるような体制を整え、社内で案件が完結できるようにする場合が多いです。このケース以外にも、社内に翻訳者が常駐していれば、通常はフリーランスの翻訳者に依頼するような案件で急ぎの翻訳案件が発生した場合でも、お断りせざるを得ない状況を回避できます。
このように翻訳会社では、案件の性質に応じて社内翻訳者とフリーランスの翻訳者に作業をお願いしています。
回答:
バイリンガルチェックは原文と訳文を突き合わせて行うチェック、
ネイティブチェックは出来上がった訳文のみを読んで行うチェックです。 |
そもそも、翻訳会社でよく聞く「ネイティブチェック」と「バイリンガルチェック」はどのようなものでしょうか?
バイリンガルチェックでは、専門のチェッカーが、翻訳者が仕上げた訳文を原文と突き合わせながら確認します。文書全体をくまなく確認するので、誤訳/訳抜けから指定の用語集違反、そして誤字脱字といったエラーまで漏れなく確認し、修正することができます。
チェック担当者にも専門的な能力が求められるため、社外作業者に依頼する場合、事前のトライアル試験に合格したフリーランスのバイリンガルチェッカーによってチェックが行われます。
チェッカーがネイティブであるか、そうでないかの決まりはありませんが、日本の翻訳会社では、英日案件も日英案件も日本語ネイティブのチェッカーが対応することが多いです。
一方、ネイティブチェックでは、訳文のみを対象に、文法がおかしくないか、不自然な表現になっていないかという観点でレビューを行います。そのため、訳文の自然さや流暢さを磨くことはできても、誤訳や訳抜けといったエラーを発見することはできません。
例えば、ネイティブチェックを行っている訳文の一部に「私に昨日京都を行った。」という文があるとします。日本語ネイティブであれば、この文には明らかなエラーがあることが分かると思います。この文をチェックしているレビュアーは、「私は昨日京都に行った。」と修正します。
しかし、修正した文の原文が仮に「I went to Tokyo yesterday.」だった場合はどうでしょう。この場合、「Tokyo」を「京都」と訳出しているため、明らかな誤訳となります。
しかし、ネイティブチェックでは原文と訳文を突き合わせてチェックしないため、「Tokyo」が誤って「京都」と訳出されていることには気づけません。前後の文脈で辻褄が合わないことに気付くケースもあるかもしれませんが、誤訳を検出するためには、やはりバイリンガルチェックが必要です。
つまり、ネイティブチェックは「バイリンガルチェックが済んで誤訳、訳抜けなどのエラーがなくなった状態の訳文」に対して行うことが理想であるといえます。
ちなみに、多くの翻訳会社では、訳出言語のノンネイティブが翻訳を行った場合にのみネイティブチェックを実施し、翻訳を訳出言語のネイティブスピーカーが行う場合はネイティブチェックを提案しないケースが多いです。これは、ネイティブによって訳出された訳文は、翻訳の時点で「訳文の自然さ」「流暢さ」で求められているレベルをクリアできているためです。この場合、翻訳工程の後、バイリンガルチェックで全体的にエラーがないかを確認します。
もちろん、お客様のご要望に応じて、バイリンガルチェック後にネイティブチェックをかけることも可能です。
回答:
問題なく訳せますが、可能であれば用語集や参考資料を渡す方がよいでしょう。 |
既に質問その1でも触れたように、翻訳会社に登録するフリーランスの翻訳者は各分野の専門知識と翻訳の力量を計るトライアルを受け、合格していることが前提となっています。
また、翻訳会社は翻訳対象の分野に最適な翻訳者を選定します。確かなバックグラウンドをもった翻訳者が案件の対応をしますので、専門用語も問題なく訳出することができます。
もしも作業者に馴染みのないような、調べても定訳が全く確認できないような専門用語に遭遇した場合は、適宜仮訳をつけた上でお客様に確認をお願いしている場合がほとんどだと思いますので、専門用語の訳出も安心してお任せいただくことができます。
ただし、専門用語の訳語が複数存在したり、社内で使用している定訳がある場合は、その資料や用語集を翻訳会社に渡すと、より安心して翻訳を依頼していただけます。
翻訳会社や翻訳者は、翻訳を効率よくかつ正確に行うために翻訳支援ツールを使用していることが多く、用語集が提供されるとそのツールを使って該当する用語を訳文に確実に反映することができますので、資料がある場合はぜひ翻訳会社に渡してみてください。
いかがでしたでしょうか。翻訳会社に対して抱いていた疑問が、少しは解消されたでしょうか?
様々な立場の方に翻訳会社について知っていただければと思いますので、今後も「豆知識シリーズ」を続けていきたいと思います。
「この疑問に答えてほしい」「これってどうなってるの?」そんな疑問や質問がありましたら、どうぞお気軽に以下のフィードバックフォームより投稿してみてください!翻訳会社の社員が、回答にお答えします。