一歩先行く台湾の技術と文化
少し前に台湾による新型コロナ対応の迅速さが話題になったことは、皆様の記憶の片隅に残っているのではないでしょうか。台湾では2003年に流行したSARSを教訓に、今回は初期段階から新型コロナの感染拡大を抑えるべく速やかに対応し、他国に比べ、感染者と死亡者の数を低く抑えることに成功しました。
また、全世界でマスク不足が深刻な問題として取りざたされているなか、台湾では当初からITを活用し、マスクの販売個数を徹底的に管理することで、同様の問題を回避することができました。この点において、台湾の適切なIT活用は大きなインパクトを残したのではないでしょうか。
台湾といえば、一昔前までは、日本の技術や文化を積極的に取り入れ、どちらかといえば、日本がその先をいくイメージがありました。20年前に台湾を初めて訪れてから何度も再訪している筆者にとって、台湾は古い街並みが適度に保存されているせいか見た目ではその発展を大きく感じることはなかったのですが、見えないところで確実に進化していたようです。今回の新型コロナ対策は、格段に進化をとげた台湾の技術革新力の一端を示す象徴的な出来事になりました。
本日は、このような台湾独自の技術と文化について、お伝えします。

入国の際、入国カードの提出が求められますが、台湾では2015年7月からオンラインでの事前申請が可能になったことはご存知でしょうか。筆者も2018年に台湾を訪れた際、オンラインでの入国カードの入力を日本で事前に済ませていたため、機内や空港で紙の入国カードを記入する必要がなく、入国審査もスムーズにパスすることができました。
台湾の街中でのキャッシュレス化は、中国ほどではないですが、日本よりも進んでいます。台湾では2002年に悠遊カード(EasyCard)と呼ばれるICカードが導入されて以来、鉄道、バス、コンビニ、デパートなど日常のあらゆる場面でICカードが電子マネーとして利用されるようになりました。実際、筆者が十数年前に台北を訪れた際も、さまざまな場所でこの悠遊カードを利用することができました。悠遊カードの発行時期とほぼ同時期に日本でもsuicaが導入されましたが、鉄道の乗車用として使用されることが主で、電子マネーとしての使用が定着するようになったのは導入からずいぶんたってからのことだと思います。台湾ではICカードさえあれば支払いが可能という点で観光客にとって便利な環境が日本よりも早くに整っていました。
モバイル決済については、台湾では日本と同様に現金信仰が根強く残り、そのため普及が遅れ、現金や前述のICカードの利用が目立っていましたが、それでも日本よりも先にモバイル決済の普及率増加対策に着手しています。
このように、台湾では、以前から空港だけではなく街中でも電子化が進んでいたこともあり、帰国者の行動を把握することがスムーズにできたことが新型コロナ感染対策の迅速化につながったのではないでしょうか。

最近では食と健康への意識から、味や食感を実際の肉に似せた「フェイクミート」に注目が集まっています。同時に、食糧危機への危惧という観点からも、ますます注目されるようになっています。
日本では、ベジタリアンやビーガンは話題の言葉としてはよく登場するようになりましたが、実際はそれほど浸透していないのではないかと思います。一部のお店や大学の学食でベジタリアン料理やビーガン料理が提供されるようになりましたが、ここ数年の動きです。外国からベジタリアンの友人やお客様が来日した際に、一緒に食事をするお店に困ったという経験をされた方は読者の中にも多くいらっしゃるのではないでしょうか。
台湾では、古くから台湾素食という食文化があります。台湾素食とは肉、魚、動物由来の油、卵、乳製品を使わない料理です。台湾は国民の10パーセントほどがベジタリアンであると言われており、そのため、台湾素食という文化が栄えてきました。

(Wikipediaより。台湾素食のビュッフェ)
パイナップルケーキ、マンゴーかき氷、タピオカドリンクといった食文化だけではなく、誠品書店など空間として楽しめる書店なども、台湾から日本へと文化の流行が伝わるようになりました。
景観の保護につとめノスタルジーを感じさせる風情があり、観光地として人気が高い台湾ですが、ITを活用した近代化が確実に進んでおり、そのレベルの高さは見習うべきものがあります。今後どのような技術や文化が台湾から日本へと伝わってくるのか楽しみが尽きず、今回の台湾での新型コロナ対策を機にますます台湾から目が離せなくなってきました。