世界で唯一の翻訳会社コンソーシアム
ASAP Globalizers

 

 

MLVとSLVについて

皆様はMultilingual Language Vendor(MLV)とSigle Language Vendor(SLV)という言葉はご存知でしょうか。この二つの言葉は30年以上前から使われていますが、MLVは多言語のプロジェクトをメインに取り扱い、SLVは所在国の母語話者として単一言語対(例えば日英・英日)に特化してカテゴリ分けがされています。

MLVは10言語を超えるような翻訳プロジェクトの対応を行うことから、プロジェクト管理、翻訳テクノロジー、ベンダー管理に強みを持ち、一方のSLVは単一言語対に特化しているため品質管理に強みを持っているのが一般的です。

MLVは各国にいる個人翻訳者のほか、SLVにも仕事を委託しますが、ここでコミュニケーションエラーが発生することがあります。顧客側の現地の責任者がうまくMLV側のプロジェクトマネージャとコミュニケーションが取れなかったり、MLVが間に入ることで、間違った情報が伝わったりすることがあるからです。

アジアと欧米の文化的背景は異なる

ハイデルベルグ城から見下ろした景色(ドイツ)

MLVは、欧米に非常に多く存在しています。これは歴史的、文化的、言語的のいずれの観点から見ても欧米が英語を中心とした多言語コミュニケーション領域と近接していて、英語を起点としたコミュニケーションが広がったことと関連があると思います。例えば欧州連合条約第一条では、EU内での法令は、加盟国の公用語で発行されることがEEC以来の基本原則になっていることから、20か国語に多言語翻訳展開が必須となっています。

こうしたことを背景に、特定の領域を除いては、まずは英語の文書を作成し、それから多言語に翻訳展開することが、欧米の常識になっていることも、MLVの発展を支える一因であるといえます。

一方でアジアの国々は、母語を除いては英語以外の言語に触れる機会が少ないという特徴があります。母国語で文書を作成して、まず英語に翻訳をする。そこからがMLVの出番です。日本では、大手の翻訳会社でも、大半のプロジェクトが英語と日本語の翻訳で、多言語の比率は少ないか、日本語⇔多言語(中・韓など)の直接対応に強みを持っているかのどちらかであることが多いようです。

新しい企業買収の形でローカル力を鍛えたMLV達

企業買収や合併が頻繁に行われている翻訳業界においては、近年、MilengoやTranslation.com(Transperfect)などどいった、持ち株会社形態を活用した企業買収&合併が進んでいます。Transperfectは、2018年5月にNimdzi社が発表したNimdzi 100 LSP rankingsによると、615,000,000USDの売上を上げて見事に一位に輝いています。
(https://www.nimdzi.com/2018-nimdzi-100-2/)

日本の企業の中では、翻訳センターとサンフレアがランキングに入っていますが、実はこうした日本のマーケットリーダー企業が、MLVの技術力とプロジェクトマネジメント力を有していればもっと上位に食い込むはずです。日本の市場は特に、日本人のコンタクトを好みます。日本人同士だから分かり合える機微や言葉のニュアンスなどを理解するには、現地の母語話者による調整が一番良いと考えている担当者が多いからです。

 Transperfectの強みもまさにそこにありました。もともとは日本のSLVという位置づけの会社をアンブレラ企業(持ち株会社)としてのTransperfectが買収していくため、現地の対応力を残したまま、MLVの強みであるプロジェクトマネジメントや技術力の基盤を維持して拡張しているのです。







NIMDZI 100 LSP ranking のページ

コンソーシアムという選択肢

コンソーシアムは、大学などの連携事業にはよく使用される言葉ですが、Wikipediaでは以下のような定義があります。

コンソーシアム(英語: Consortium)あるいは共同事業体(きょうどうじぎょうたい)は、2つ以上の個人、企業、団体、政府(あるいはこれらの任意の組合せ)から成る団体であり、共同で何らかの目的に沿った活動を行ったり、共通の目標に向かって資源を蓄える目的で結成される(Wikipediaより引用)。

日本では産学連携の一形態のような受け止め方をされることが多いですが、欧州におけるコンソーシアム(企業連合)は、入札案件に参加する資格を持つ組織体としての地位が与えられています。EU域内のプロジェクトが域外の国に落札される比率は3% ~ 5%に満たず、日本の企業が単独での落札は非常に限定的な状態です。

翻訳会社がこうした入札に参加するために欧州域内の企業との連携を活用することは、理にかなっているといえます。

翻訳会社が設立した唯一の翻訳会社コンソーシアム“ASAP Globalizers”

独SAP社のオフィス近辺の画像

当社が出資しているASAP Globalizers は世界に残存する唯一の翻訳会社のコンソーシアムです。営業・マーケティング機能を有した合弁会社の形をとり、各国のプロジェクトに参加しています。直近でも、エジプトの観光局の仕事を受注しています。

このように、各国の入札案件に企業連合として連携することもあるほか、営業・マーケティング活動を連携することで、MLVの弱点とされているコミュニケーション不全を回避しています。

ASAP Globalziers がどこにも負けない強みは、SAPに対する専門性と品質水準です。ASAP Globalizersに参加する企業は、例外なく、ドイツのITの巨人SAP社から、翻訳会社としてのパートナー認定を受けなければいけません。この認定を受けるためには、当然SAP社が求めるサービス水準を満たしていなければなりません。

厳格な品質基準と明確なワークフロー、そしてグローバルスタンダードに基づいた納期管理など、厳しい選定をクリアした企業だけに与えられる認定です。当初はこうした専門性を活かして、SAPに関連する世界中の案件を協力して対応する企業として設立しました。企業連合としてのASAP Globalizersの全世界の売り上げは、Nimdzi 100 LSP rankingsに当てはめても50位以内に入っています。

サービスのクラウド化、世界同時リリースなど、商品やサービスのリリースそのものの期間が短くなる中で、翻訳・ローカリゼーションにかけられる期間はこれまで以上に短縮化される傾向にあります。

一方で、アジアや欧州市場の成熟に伴い、翻訳が必要な言語は年々増えており、製品によっては、取扱説明書を30言語以上に翻訳するというケースもあります。グローバル市場で成功するためには、各国の事情にとらわれない時間軸・スピードでの対応が重要ですが、同時に各地域(=ローカル)の事情に沿った言語展開が必要不可欠です。

ASAP Globalizersは、MT+PEのプラットフォーム提供など、より技術基盤を統合し、MLVとしての強みと、SLVとしての強みを統合し、より迅速な対応ができるように成長し続けます。

独SAP社のイベントSLS Language Services Forumに参加したASAP Globalizersのメンバー

森口 功造

(株)川村インターナショナル 常務取締役
慶愛香港有限公司  代表取締役社長
ASAP Globalizers GmbH  General Manager

中央大学法学部法律学科卒業。
大学卒業後、北米加州への留学を経て川村インターナショナルに入社。品質管理担当として制作業務全般を経験し、現在は営業・マーケティングを含めた業務全般の統括として社内の管理に携わっている。現在は自動翻訳を活用したプロセス改革と国際標準規格の策定に活動の中心を置いており、TC37 SC5 国内委員として、ISO17100および18587の規格策定にも携わる。アジア太平洋機械翻訳協会(AAMT)理事、日本翻訳連盟(JTF)理事。

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