知っておきたい通訳依頼時のポイント
知っておきたい通訳依頼時のポイント
知っておきたい通訳依頼時のポイント
社内に通訳事業チームがたちあがってから4年近くが経ちます。優秀な通訳者さんとのご縁にめぐまれ、リピートのご発注を数多くいただくようになりました。それでもまだ、通訳実施日は会議や商談が無事にそして成功裡に終わりますようにと、終了報告があるまで緊張状態で過ごしています。
案件が終わればお客様と通訳者からフィードバックを得てその内容をひとつひとつ確認し、体制の整備や業務手順の改良を検討しますが、毎回新しい気づきがあります。
経験を重ねるなかでつくづく感じることは、通訳業務の成否は事前準備にかかっている、ということです。もちろん、通訳者のスキル・技術は重要な要素ですが、その能力を最大限発揮してもらうためには、事前準備は必須です。
会議や商談、セミナーなど、通訳が発生する場がどんなものであっても、実は通訳者は唯一の部外者です。例えば、顧客向けのセミナー、というシーンであれば、セミナーを主催するお客様(通訳発注元)はもちろん、セミナーに参加する方も何らかの意思や予備知識をもっています。
既にこの時点で通訳者が持つ情報量は圧倒的に少ない状態になってしまっています。通訳者は、そのギャップを埋めるために、通訳時間の何倍もの時間を資料の読み込み、調べものなどの準備に費やしています。
また、円滑な運営という視点でも、さまざまな情報が必要になります。通訳内容のほかにも、参加人数、参加者の関係性(顧客なのか、顧客でも潜在なのか既存なのか、また社内関係者がメインのものなのであれば、どのような立場の方が参加されるのか、など)、部屋の大きさ、話者が話す時間、など、そのシーンを詳細に想像できないとスムーズな運営に支障がでることがあります。
例えば、「英語スピ-カーが1人。聴衆は日本人で、日本人からの発言はなく、英語→日本語一方方向の通訳で、時間もあるので逐次通訳者1人でOK。場所も会社の会議室なので機材も不要」と臨んだところ、聴衆は15人以上いて、部屋も広く、「通訳者の声が遠く聞き取りにくかった」、「時間が押して最後は同時通訳ですすめなければいけなくなったが、話者と通訳者の声がかぶり、話しの内容がまったく聞こえなかった」という事態になってしまったこともありました。
また、リピートのお客様からの「先日と同様、顧客訪問と会議です」という情報を頼りに「先日同様、なごやかでフランクな表敬訪問」を想定して準備したところ、「先方の重役レベルも参加し重要な契約に繋がるかどうかの会議だった。さらに話者の方には逐次通訳スタイルであることが伝わっておらず、その場で同時通訳に切り替えたが、1人での対応が難しく十分なパフォーマンスをあげられなかった」ということもありました。
通訳者もある程度は、予定外の事態に臨機応変に対応するスキルを備えていますが、事前にもう少し確認していればそのような事態に陥らなくて済むケースでした。
私たち通訳者と通訳サービス提供者の最終目的は、「上手く通訳すること」ではなく、あくまでも「お客様の会議やセミナーなどを成功させること」です。多忙なお客様に、資料を何度も請求したり、細かなことを色々と質問したりとお手間をとらせてしまうのは、実はこうした理由があるのです。
ご面倒をおかけいたしますが、そのような事情をご理解いただき、事前準備へのご協力をいただけますと幸いです。
通訳会社として通訳サービスの提供では長年の実績がある、とはいえませんが、弊社に登録している通訳者は皆、非常に勉強熱心であることには自信があります。
今年、5年目を迎える通訳事業担当チーム一同、お客様にとって最適な通訳サービスを提供すべく、あらたな気持ちで取り組んでまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
川村インターナショナル
担当者紹介
仲山 裕子
川村インターナショナル
通訳・派遣事業部マネージャ
2001年(株)川村インターナショナル入社。主としてマーケティング文書案件の品質管理、PM、社内翻訳を担当。2013年からは翻訳者採用業務に携わり、以降、フリーランス翻訳者のほか、社内翻訳者、通訳者など人材の採用を担当。
2014年の通訳事業立ちあげメンバーの1人として、現在も通訳プロジェクトのコーディネーションを担当。